渋沢栄一アンドロイド(渋沢栄一記念館講義室)

更新日:2023年07月31日

渋沢栄一アンドロイド

施設概要

渋沢栄一アンドロイドから講義を受けることが出来ます。

見学について

人数制限を伴う事前予約制です。下記リンクからご予約ください。

「渋沢栄一アンドロイド講義」スケジュール(令和5年8月から)

公演回数

渋沢栄一アンドロイドとは

深谷市の郷土の偉人・渋沢栄一(1840年~1931年)の生誕180年にあたる節目の年、2020年に本物そっくりの「渋沢栄一アンドロイド」が完成しました。 渋沢栄一は、明治維新後に近代化を迎えた日本経済の発展に大きく貢献しました。論語の精神を重んじた「道徳経済合一説」を唱え、生涯設立にかかわった会社は500を数えます。 また、約600もの社会福祉事業、教育・福祉の支援と民間外交にも熱心に取り組みました。 この渋沢栄一アンドロイドは、当時の渋沢栄一の風貌を忠実に再現しており、アンドロイドが語る言葉を通して、在りし日の渋沢栄一の考え方を今に伝えます。 渋沢栄一アンドロイドは、深谷市出身の鳥羽博道氏(株式会社ドトールコーヒー名誉会長)の寄付により制作しました。

休室日

からご確認ください。

 

料金

無料

 

アンドロイドの講義内容について

大正時代に渋沢栄一が語った『道徳経済合一説』を現代風にアレンジしたものです。

渋沢栄一アンドロイド講義の内容

「仁義道徳」と「生産殖利」つまり、「道徳」と「経済」とは、共に両立して進むべきものでございます。

にもかかわらず、多くの人は儲けに走り道徳心を忘れてしまう傾向にありますので、昔の偉人は、このことを人に教える際に、道徳を説き、お金儲けを戒めることに専念いたしました。

ところが、後の学者はこれを誤解して、お金儲けと道徳は対立するものとし「仁則不富。富則不仁。(仁すなわち富ならず。富すなわち仁ならず。)」と考え「利を得れば義を失い、義に依れば利が離れる」、つまり「儲けに走れば道徳を忘れ、道徳を重視すれば利益が薄くなる」と速断してしまい、ついには「貧しいことが清く美しく、富むことは汚れることだ」などと、偏って論じられるようになってしまったのであります。

しかし、私が尊敬する孔子の教訓には決してこのような意味はありません。 孔子は道徳に反した利益は良いことではないと戒めてはおりますが、道徳にあった利益はこれを理に適うものとしています。孔子が富むことをいやしんだのは、不義の場合に限っていることであり、道徳に適った利益は、君子の行いとして恥じる所でないとしたのは明らかであります。

私が聞くところによれば、経済学の祖であるイギリス人「アダム・スミス」は「グラスゴー」大学の倫理哲学教授であって、有名な「国富論」を著わして、近世経済学を起した人ですが、孔子の考えと同じであります。このため、 道徳・経済合一は東西問わずの世界中に適する不変の、いつまでも変わらない原理であると、私は信じます。

また、孔子が弟子の子貢(しこう)の問に対して答えた「博く民に施して、能く衆を済う(ひろく民に施して、よく衆をすくう。)」という言葉からも、国を治める者にとって、利益を生みだす経済活動は決して疎かには出来ない事である、と私は堅く信じておるのであります。

私は学問も浅く不勉強ですので、実行できることも微力でありますが、ただ、道徳と経済とは、全く合一するものであるということを確信しておりまして、私が行なう事業においてもこれを証明していけると思っております。これは決して今日になって言い出したことではありません。

自分の思いが、正しい国家の隆盛を望むならば、国を富ますということに努めなければなりません。そして、国を富ますためには科学を進め、商工業の活動も進めていかなくてはなりません。そこで、商工業を進めるためにはどうしても「合本組織」いわゆる株式会社の組織が必要であります。そして、株式会社の組織をもって会社を経営するには、完全にして強固なる道理によって行わなければなりません。そして、道理によるならば、その基準は何になるかと申しますと、これは孔子の「論語」による外はないのです。

ゆえに不肖ながら私は、「論語」によって事業を経営してみようと考えまして、これまで「論語」を論ずる学者が道徳と経済とを別物にした考えは誤りであり、必ず一緒になし得られるものであると、こう心に決めて数十年間経営しましたが、大いなる過失はなかったと思うのであります。

 さて、世の中が進歩するに従って社会もますます発展してきました。しかし、それに伴って肝心な道徳仁義という考えも共に進歩してきたかというと、 残念ながら「進歩していない」と答えざるを得ません。逆に大きく後退したことが無きにしもあらずといえます。このことは決して国家にとって良いことではありません。国家は国民が富むことさえできれば、道徳が欠けても仁義が行われなくとも良い、と言う人は誰もいないと思います。そんな極論がまかり通れば、次第に社会生活の様々な事柄が上手くいかなくなってしまうと想像するのは、誰でもわかることですし、その実例は世界中に余りに多くございます。

このように考えて参りますと、今日、「論語」を基本にした私の主義である 「道徳経済合一説」がいつの日か広く世の中に普及し、みなさんの考えとして社会に受け入れられる様になることを大いに期待するのでございます。

【「道徳経済合一説」大正12年(84歳)】 

お問い合わせ先

渋沢栄一記念館
〒366-0002
埼玉県深谷市下手計1204
電話:048-587-1100
ファクス:048-587-1101

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