知らないと怖い!意外と身近な肝炎について
- ◯そもそも肝炎ってどんな病気?
- 1.ウイルス性肝炎とは?
- 2.どんな症状が出るの?
- 3.放っておくとどうなるの?
- 4.私たちを守ってくれる予防方法は?
- 5.治療はどんなことをするの?
- ◯自分が感染しているか知る方法は?
- ◯精密検査費用の助成について
- ◯治療の助成について
- ◯相談窓口
◯そもそも肝炎ってどんな病気?
肝炎とは、肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が壊される病気です。 原因はウイルス感染(A~C型など)、アルコール、自己免疫等があります。 日本では、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルス感染による肝炎がその多くを占めています。 ここでは、代表的なB型肝炎とC型肝炎の経過を取り上げます。
1.ウイルス性肝炎とは?
肝炎ウイルスに感染している人は40歳以上のかたが9割以上を占めていますが、最近B型肝炎において若い人の感染も増加しています。
B型肝炎 | C型肝炎 | |
---|---|---|
ウイルス 潜伏期間 | 1~6か月 | 2週~6か月 |
感染経路 | 主に血液感染(輸血、性行為、母子感染 等) | 血液感染(輸血、母子感染 等) |
慢性化 | あり | あり |
劇症化※ | あり | 場合によりあり |
予防 | ワクチンあり | ワクチンなし |
特徴 | ワクチンが有効である。 母子感染は予防法の普及により激減している。 劇症肝炎化しやすい。 | 慢性肝炎の約70%を占める。 自覚症状に乏しいが慢性化しやすく、肝硬変・肝がんに移行することがある。 |
※劇症化:病気の進行が急激で予後不良となること。
2.どんな症状が出るの?
初期の頃には、風邪様症状(発熱、咽頭痛、頭痛など)や食欲不振、全身のだるさ、嘔気・嘔吐、腹痛などがあり、しだいに褐色尿、黄疸、皮膚の痒み、肝腫大をきたします。しかし、症状が明らかでない人もいるため、自覚症状がないからといって安心するのは禁物です。
3.放っておくとどうなるの?
B型肝炎
思春期以降に感染した場合、多くは一過性感染(一時的)で終わります。急性肝炎を起こすことがありますが、大部分の人では慢性化しません。ただし、自覚症状がないまま突然肝がんを引き起こすこともあります。また、中には急激に症状が悪化して劇症肝炎を発症し、死亡する例もあります。 また、感染ルートとして母子感染(母から子どもにウイルスが感染すること)や水平感染(性的接触、輸血、針刺し事故等)があります。母親がB型肝炎ウイルスを保有していると、出産時に子どもにも感染してしまう場合があります。
C型肝炎
感染すると約70%のかたが持続感染(ウイルスが残った状態)となり、ゆっくりと自覚症状がないまま進行することが多く、気がついた頃には慢性肝炎を発症していることがあります。その後、肝硬変、肝がんと進行します。日本の肝がん患者の約70%はC型肝炎ウイルス感染者であり年間3万人、埼玉県では約1,300人のかたが肝がんにより亡くなっています。深谷市では、年間約20人前後が肝疾患により亡くなられており、死因順位としては壮年期(25~44歳)で第6位、中年期(45~64歳)で第5位となっています。(平成23~27年までの統計より)
4.私たちを守ってくれる予防方法は?
B型肝炎はワクチンの接種により予防が出来ます。子どもの予防接種は平成28年から定期接種となり、B型肝炎の予防が進められています。母子感染予防では、出生後に子どもへワクチン接種を行ったり、必要に応じて抗HBs人免疫グロブリンを併用して感染を予防します。 C型肝炎は残念ながらワクチンがなく、早期発見が重要となっています。
5.治療はどんなことをするの?
肝機能の数値が基準内であったり、自覚症状がなくても肝炎ウイルスに感染している場合は肝炎の治療が必要となります。急性肝炎の時点では、一般的には安静や栄養面からのアプローチによる保存的治療が中心となり、多くは2~3か月で治癒すると言われています。また、薬物療法としては近年飲み薬だけで肝炎ウイルスを消せるようになり、入院の必要もなく、仕事を休むことなく治療が出来るようになりました。通院は2週間に1回程度で、服用期間は病状により3~6か月を目安とし、注射による治療の場合もあります。服用中は禁酒すること以外、特に生活を変える必要はありません。ただし、病状によっては入院して治療を受けることもあります。 慢性肝炎においても治療内容は急性肝炎とほぼ同様ですが、薬物療法も大切となり、治療後も定期的に受診して肝硬変・肝がんへの進行がないか確認していく必要があります。
◯自分が感染しているか知る方法は?
主に以下3つの方法にて検査の申し込みが出来ます。下記機関での検査方法は血液検査となり、感染の有無を調べます。基本的に1回検査を行えば、その後再度検査を行う必要はありません。採血のみなのでお気軽に受けていただくことが出来ます。詳細はそれぞれのホームページ先にて確認してください。 1)深谷市では、これまで市の健診で検査を受けたことがない30歳以上のかたを対象に、肝炎ウイルス検査(B型、C型)を実施しています。
2)職場等で検査を受ける機会のないかたは、埼玉県が委託した医療機関で、無料の肝炎ウイルス検査(B型、C型)を受けることが出来ます。
3)原則、上記1,2で検査を受けられない場合に埼玉県内の各保健所では月に1回、無料の肝炎ウイルス検査(B型、C型)を実施しています。(匿名で受けられます)
肝炎ウイルスに感染していても、検査を出来るだけ早く受けて感染を知り医療機関で適切な治療を受けることで、肝硬変や肝がんといった深刻な病気に進行することを防ぐことが出来ます。
◯精密検査費用の助成について
埼玉県では、県や市町村が実施した肝炎ウイルス検査で陽性と判定された後、初めて医療機関で精密検査を受けた際の検査費の自己負担分を助成しています。 また、肝炎ウイルスの感染を原因とする慢性肝炎・肝硬変・肝がんと診断されたかたが、定期的に受ける検査費用も助成しています。 詳細は下記ホームページ先に掲載しています。 申請窓口・お問い合わせ先:熊谷保健所 048-523-2811 埼玉県保健医療部疾病対策課 048-830-3598
◯治療の助成について
B型・C型の慢性肝炎患者のうち、埼玉県が承認したかたに対して受給者証を発行し、受給者は一定の自己負担額で治療が受けられます。申請窓口は各保健所となります。 申請窓口・お問い合わせ先:熊谷保健所 048-523-2811
◯相談窓口
肝臓病相談センターでは、専門的な知識を持った相談員が肝疾患についての相談を幅広くお受けしています。 埼玉県肝臓病相談センター 049-276-2038
月~金 午前9時~午後5時
土曜日 午前9時~正午(祝日除く) また、保健センターでは検査のご案内や健康相談を実施しています。お気軽にご連絡ください。
保健センター
〒366-0823
埼玉県深谷市本住町17-1
電話:048-575-1101
ファクス:048-574-6668
更新日:2023年03月27日