原郷上野台線アンダーパスについて (市長への手紙 内容と回答)

更新日:2023年03月27日

ご意見

標記の件につきましては、12月議会で3名の議員の方が一般質問し、また過去に4回提出された市長への手紙も拝読し、私も以下のように感じておりますので、この度こういう形で、市長の考え方をお尋ねいたします。
この路線の都市計画決定は、平成9年度の地元陳情を受け、従来のJR高崎線横断工事を、オーバーパスからアンダーパスへの変更検討を始め、長期にわたる期間を要した末に、平成23年3月に都市計画の変更認可を受けたと聞いております。しかし平成9年はまだしも平成23年以降で、日本を取り巻く気象状況は激変しています。特にここ数年の各地における集中豪雨や、スーパー台風の日本列島への上陸、記憶に新しい今年の台風19号の関東上陸等、まさに過去のデータでは推し量れない状況となっております。
このように今後も更に悪化するであろう気象状況による被害や、人命への危険が危惧されるこの時期に、より危険性の高いアンダーパスの工事を進める必要があるのでしょうか?
そこで先般の議会における一般質問に対する答弁では、十分に理解できなかった以下の事項について、市長の見解をお聞きしたく、この手紙を提出させていただくものです。

1.地震時におけるオーバーパスの危険性を上げ、アンダーパスの優位性を主張しておりますが、毎年でも発生する恐れのある集中豪雨等と、発生頻度が大きく異なる地震を同一ステージで比較するのは如何なものか。

2.計画当初から現在まで、一貫して工事費が2倍程度かかると想定されるアンダーパスを選択するのは、「最小経費で最大の効果を上げる」と言う、公費使用の原則に反するのではないか。当初の住民要望や安全対策に万全を期したとしても、2倍の工事費を費やす工法を選択する理由とはならないと考える。

3.アンダーパスの安全対策としての排水ポンプや信号機、バルーン式遮断器等の設備については、毎年保守・点検等の維持管理費が発生するが、この委託料や機器の更新等にかかる経費の想定見積額を提示願いたい。
またそもそも、この安全対策施設を必要とするのは、アンダーパスがオーバーパスに比べて危険性が高いと言っているのと同じで、本末転倒ではないでしょうか。

4.アンダーパス水没時には、3台の排水ポンプの設置で対応し、その排水能力は毎時150ミリであるから、全く問題はないとの答弁でしたが、その排水先である上柴地区の既設雨水管の能力は毎時60ミリと聞いており、これでは実際には強制排水は出来ないし、2.5倍のポンプの設置自体が過大設計ではないのか。

5.上柴地区と国済寺地区を横断するアンダーパスには、両地区からの雨水が集中すると思われるが、国済寺地区からの雨水は少量なので、これを上柴地区に強制排水しても心配はないとの答弁でしたが、そもそも上柴地区の雨水管は既設管であり、建設当時はアンダーパスからの排水流入まで計算されていたとは思えないのですが。
そのように能力の不足する雨水管にアンダーパスの雨水を圧送すれば、そこのマンホールで溢水または水道管破裂時のように、マンホールから水柱が上がりかねない状況となるでしょう。要するにアンダーパスの雨水は排除できたとしても、その雨水が場所を替えて運ばれた先の上柴地区で被害を出すことになるだけではないでしょうか。その雨水の放流先の唐沢川の能力には問題がなくとも、そこまで流れ着かないのです。そういうシミュレーションはしているのでしょうか。

6.豪雨時や台風襲来時には、監視カメラや必要に応じて道路パトロールでの対応も考えているとの答弁もありましたが、そのような危険な状況下で、市職員をパトロールに従事させられるのでしょうか。

7.JRとの工事協定の締結も間近に迫っているようですが、軌道の横断工事については、それが軌道上であれ軌道下であれ、全てJRへの工事委託となり、工事入札等は全てJRが行い、発注業者はJR関連業者が対象となると思われますから、地元業者が直接受注すると言う経済効果も期待できません。またその際には、工事費に対して最大上限10%の事務費が発生し、JR側から請求されると聞いております。当然施工方法が割高な工法であれば、事務費も高くなります。仮にアンダーパスが60億円でオーバーパスが30億円だと致しますと、たとえ事務費を5%と低く見積もったとしましても、その差が1.5億円にもなります。今の深谷市は、新築中の庁舎、アウトレットモールの整備、川本公民館の新築等、これからも大きな財政負担が発生すると思われますが、仮に生じると思われますこの1.5億円と言う金額は、大したことではないとお考えなのでしょうか。

以上私が考えただけでも課題が山積しているにも関わらず、付近住民の生活環境への配慮や、道路渋滞の解消、現状の平面交差踏切の危険回避等を理由に、2倍の工事費とオーバーパスなら本来必要にならない未来永劫続く維持管理費等を費やして、このアンダーパス工事を進める必要性がどこにあるのか。もう一度立ち止まって再検討をお願いしたい。強固な安全対策を施すと言う事は、その施設が危険だと言っているのと同じです。他に方法がないなら仕方ありませんが、オーバーパスと言うより安価な方法があるにも関わらず、既に着手しているからと言ってこのまま進めるのは、高齢ドライバーが、ブレーキとアクセルを踏み間違えて暴走をしているのと同じだと考えます。
一度変更した都市計画決定の再度の見直しや、事務費の関係もあるJRとの工事協定の変更等、越えなければならないハードルは非常に高いものと思われますが、市長に置かれましては、優秀な職員の能力を信じ、この高いハードルを越える英断を下していただきますよう、切にお願いいたします。

(ご意見の表記を一部変更して掲載しています)

(受付日 令和元年12月23日)

回答

1.「地震時におけるアンダーパスの優位性を主張しているが、集中豪雨と発生頻度が大きく異なる地震を同じステージで比較するのは如何なものか」について

鉄道との交差形式の平面交差、オーバーパス、アンダーパスには、平時、災害時においてそれぞれのリスクがありますことから、反面ではそれぞれの交差形式が備わることで全体としてはリスク分散が図れるものと考えております。そのため、単に地震時の優位性を意図したものではございませんので、ご理解頂きたいと存じます。

2.「工事費が2倍程度かかるアンダーパスを選択するのは公費使用の原則に反するのではないか」について

原郷上野台線のアンダーパスにつきましては、平成9年の地元住民の皆様からの陳情から始まり、地元説明会で意見交換を繰り返した結果、当初計画を変更する方針とし平成22年から都市計画変更のための法手続きに着手しており、その後都市計画変更案の縦覧、深谷市都市計画審議会へ諮問、答申を受けております。アンダーパスへの変更は都市計画運用指針に基づいた日照問題等の生活環境面に配慮するなど、住民の意見をできるだけ反映させ、住民との合意形成を図るとともに、都市計画法に定める所定の手続きを経て平成23年3月に変更決定に至っております。そのような経緯を踏まえ、市ではアンダーパスの整備に着手しておりますので、ご理解頂きたいと存じます。

3.「アンダーパス安全対策の保守点検や更新に係る経費の想定見積額を提示願いたい、また安全対策を必要とするのはアンダーパスの危険性が高いと言っているのと同じではないか」について

原郷上野台線アンダーパスの安全対策としましては、排水ポンプ、電光掲示板、バルーン式遮断機等の設置を予定しており、個々の更新費用については明確に検討しておりませんが、これらの年間維持管理費としては約160万円程度を想定しております。アンダーパスの構造上、冠水対策としての安全施設の設置が必要となっておりますが、他市事例等を参考に必要な対策を講じて参りますので、ご理解頂きたいと存じます。

4.「ポンプ排水能力150ミリに対し、上柴地区の既設雨水管能力は毎時60ミリでは強制排水は出来ないし、2.5倍のポンプ設置自体が過大設計ではないか」について

原郷上野台線アンダーパスに設置するポンプ能力につきましては、公益社団法人 日本道路協会が手引書として発行する「道路土工 排水工指針」に基づき、降雨強度を1時間当たり150ミリと設定し排水できる能力を確保しております。一方、雨水管につきましては、公益社団法人 日本下水道協会が発行する「下水道施設計画・設計指針と解説」に基づき、降雨強度を1時間当たり57ミリと設定しております。アンダーパスに降った雨水に関しては、降雨強度150ミリに対応した排水ポンプであるため、短時間に大量の雨が降った場合でも冠水を抑制することが可能であり、指針に基づくポンプ能力設定であることから、過大設計ではないと認識しております。

5.「雨水管のシミュレーションはしているのか」について

原郷上野台線アンダーパス建設による雨水排水経路の変化としましては、線路北側の国済寺地区内の一部雨水が流れ込むこと、自然に流していた排水がポンプにより強制排水となります。設計段階におきましては、上柴の雨水排水区域に1時間当たり57ミリの降雨強度の雨が降った条件のもと、アンダーパスに1時間当たり150ミリの降雨強度の雨が降り、ポンプ排水を上柴の雨水管へ接続した場合を想定した流量計算を実施しております。その結果、流下能力内に収まっており、排水は可能と確認しております。

6.「豪雨時や台風襲来時での職員によるパトロールは危険ではないか」について

アンダーパスには冠水センサーを設置し、冠水量によって市内部の電話に自動音声通知され、必要に応じて職員が現地確認することとなっております。その場合、天候状況を確認した上で、安全に配慮し現場確認を行う必要があると考えております。しかしながら、その前段として万が一アンダーパスが冠水した場合には、バルーン式遮断機や電光掲示版が自動的に作動し、物理的にアンダーパスへの進入を防止する安全対策が取られることとなっております。市では、これらの自動装置が確実に作動するよう、点検に十分配慮して参りたいと考えておりますので、ご理解を頂きたいと存じます。

7.「JRへの施工委託においては、工事費に対し最大上限10%の事務費が発生し、仮にアンダーパスが60億円でオーバーパスが30億円とした場合、事務費を5%と低く見積もってもその差が1.5億円になる。この1.5億円は大したことではないと考えているのか」について

原郷上野台線アンダーパスは、JR高崎線の軌道下にボックスカルバート構造を築造するものとなりますので、工事内容も大規模なものとなりますことから、鉄道の安全運行の観点よりJRへの施工委託に向け協議を進めております。事務費につきましては、国土交通省から発出された、都市・地域整備局長・道路局長・鉄道局長通知「道路と鉄道との交差に関する協議等に係る要綱・同細目要綱」に基づき算定されており、約1,500万円程度と見込んでおります。また、平成20年度には国と鉄道事業者との間で「公共事業における鉄道委託工事を行う場合の透明性確保の徹底に関する申し合わせ」というものが行われており、協定締結の際必要となる添付資料や清算・支払い時に事業実施主体へ提出すべき資料等が定められております。市としましては、これら提出資料の確認により、協定の透明性の確保、徹底に努めて参りたいと考えております。アンダーパス構造での整備で決定した以上、最小の経費で築造が出来ますよう、配慮していく予定でおりますのでご理解を頂きたいと存じます。

最後に、このたび、多くの視点からご意見を頂きましたが、原郷上野台線アンダーパス整備に向けましては、既に地下埋設物等の支障物件移設も進んでおる状況であり、今年度末にはJRへの施工委託協定締結を予定しているところです。これまで、都市計画法に定める所定の手続きを経て、予算の議決も頂いたことから、工事着手に向けた関係機関との調整も終了しており、国済寺土地区画整理事業の進捗に併せてJR高崎線で分断されている上柴地区とのアクセスを向上させるために、引き続き整備を進めてまいりますので、重ねてご理解をお願いいたします。

(回答日 令和2年1月24日)

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