渋沢 栄一 デジタルミュージアム【shibusawa eiichi digital museum】

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27.合本組織(株式会社)

更新日:2016年3月31日

 渋澤栄一は、ヨーロッパで学んだ知識技能や経験を買われ、近代日本創造のため、明治維新政府の主に大蔵省で働きました。しかし、政界だけに人材が集まるのは国のためにならない、国の健全な発達のためには経済の発展が必要だと考え、自ら銀行を組織し民間企業の創設・育成につとめました。栄一は、ヨーロッパで国の役人と、銀行家などの商人が対等につきあっている姿を目の当たりにし、真の意味での市民平等はここにあると確信していたのです。
 栄一は、第一国立銀行株主募集布告のパンフレットに株式の意味を語っているので引用します。「そもそも銀行は大きな川のようなものだ。役に立つことは限りない。しかしまだ銀行に集まってこないうちの金は、溝に溜っている水やぽたぽた垂れているシズクと変わりない。(中略)銀行を立てて上手にその流れ道を開くと蔵やふところにあった金がより集まり、大変多額の資金となるから、そのおかげで貿易も繁昌するし、産物も増えるし、工業も発達するし、学問も進歩するし、道路も改良されるし、すべての状態が生れ変わったようになる。(後略)」と、銀行と株式の社会的意味を説明しています。
 そんな栄一も株式を運用する人の心がけによっては弊害もあると指摘していました。当時の人々にとっては、道徳経済合一説を唱え、私利私欲なく、国益や公益のために活動する栄一の姿を手本と見て納得していました。三菱財閥から海上運輸に関する提携を呼びかけられた時も、自由競争こそが健全な経済の発展をもたらすと断っています。
 栄一の説く合本組織(株式会社)は、個人主義に基づく利潤の追求ではなく、国の発展や国民の真の自立といった次元の高い理想と大きな立場での合本組織(株式会社)の活用だったのです。

〔文・橋本実さん/平成18年3月号掲載〕

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