実務官衙域
実務官衙域 実務官衙域には、幾つもの建物ブロックが存在しています。その全てについては性格が特定できませんが、館や厨家、その他各種の行政実務を行う曹司があったと考えられます。
館と考えられるものは掘立柱塀で囲まれ、四面庇建物を主屋(殿)とします。その北側には廃棄土坑があり、多量の土器や焼土、炭化物の他に、シカ・イノシシなどの獣骨、カモなどの鳥骨、タイ・カツオ・サバ・フナ・アユなどの魚骨、ハマグリ・アカニシなどの貝殻が出土しました。館は国司などが巡行してきた時に宿泊した施設と考えられ、その際は、ここで饗宴が行われたのでしょうか。海産物が多く見られ、当時の流通を考える上でも重要な資料です。饗宴で使用する食材は厨家で準備されるため、館の近くにある建物ブロックがそれに当たると思われます。

館の跡(上空から)

館の跡(北から)

四面庇建物跡。館の主屋(殿)に当たり、格式高い大型建物です。

掘立柱塀と建物跡

館に付属する倉庫跡

館に付属する竪穴建物跡

館に付属する竪穴建物跡から出土しました。土製支脚の可能性が高いものです。人面が線刻され、漆喰のようなもので白く塗られています。支脚であるならば、人面はカマド神を表したものの可能性が高いです。


中からは、7世紀後半~8世紀前葉に及ぶ多くの土器と共に、獣骨(シカ・イノシシなど)や魚介類(タイ・カツオ・サバ・サケ・フナ・ハマグリ・アカニシなど)、鳥骨(キジ・カモ・ウズラなど)が多く出土しました。館で行われた饗宴の残滓と考えられ、炭化物や焼土も多く出土したことから、近くには厨家もあったと推定されます。



長さ30.8メートルと17.2メートルの長大な建物跡がL字に配置されています。物資の一時的な収納・管理など、流通に関係する施設であったと思われます。
更新日:2023年03月27日