王国植物だより(夏)

更新日:2023年12月25日

王国植物だより(夏)

種目の後の月の表示は見ごろの時期を表しています。

なお、原則としてそれぞれの草花の写真を撮影した時期を開花期(見ごろの時期)と見なしています。植物図鑑等で開花期として表記されている時期と異同がある場合や、撮影した時期以前から既に開花している場合もあります。また、その年によって開花状況が異なることや、開花しない場合もありますので、あくまでも参考としてご覧ください。

ナンジャモンジャ(5月上旬)

何の花なのかわからなかったことから、通称「ナンジャモンジャ」と呼ばれます。本来は「ヒトツバタゴ」という名前です。明治神宮外苑にあるものも有名ですね。ふかや緑の王国のかわら版・建国10周年記念誌のタイトルにもなっている、緑の王国のシンボルツリーです。

ナンジャモンジャ
ナンジャモンジャ

正門入って左手、藤棚の左隣にあります。

サンショウバラ(5月上旬から)

サンショウバラ

日本固有種で、サンショウに似た葉を持つのでこう呼ばれます。バラ科の植物ではもっとも大きくなり、6メートルにも育ちます。緑の王国のスモークツリーガーデンにあるものは、およそ3メートルです。実は甘い香りを持ち、果実酒に使われることもあります。神奈川県、山梨県、静岡県に分布し、山地に多く見られます。とりわけ富士山周辺に自生することで知られるとのこと。1日から2日しか咲かず、すぐ散ってしまいます。木は硬く、斧の柄に使うために、「オノギ」という名もあります。絶滅危惧種です。

ポピー ピエロ(モンツキヒナゲシ)(5月上旬から)

ポピーピエロ

春の終わりから初夏にかけてスモークツリーガーデンにたくさん咲きます。黒い模様をピエロの顔にたとえて「ピエロ」、また全体的にてんとう虫に見えることから、「レディバード」とも呼ばれます。大きさは大人の腰の高さ程度にまで育ちます。原産地はコーカサス地方から小アジア。一年草ですが、けし粒のような大量の種を付けるので、毎年群れを成して咲きます。

ポピーピエロ

えご(5月上旬)

えごの花

えごは日本から朝鮮半島の山野に見られ、シンボルツリーとしても人気の木です。日本では万葉集の時代から親しまれています。春から初夏に咲きますが、時期は比較的短く、一斉に咲いて、気が付くと終わっているような花です。花柄が長く、下向きにぶら下がるように花が付きます。実は食べても苦みがあり、えぐく感じます。これが「えご」という名前の由来だそうです。また、この実には「サポニン」という成分が含まれるため、実を水につけると泡が発生し、かつては石鹸の代用としても使われました。木は将棋の駒としても用いられます。

えごの花

アマドコロ(5月上旬)

アマドコロは初夏の山野に生える高さ50センチになるユリ科の多年草です。写真のように葉の脇の部分から、白い小花が下向きに連なって咲きます。球形の果実からはでんぷんを取る他、腰痛や打撲の治療薬としても使います。

アマドコロ
アマドコロ

コデマリ・オオデマリ(5月上旬)

オオデマリ・コデマリとひとくくりに呼ばれがちですが、オオデマリはスイカズラ科、コデマリはバラ科で別の仲間です。花の形が似ており開花期も近いためまとめて呼ばれがちなのでしょう。ただコデマリの方が花が小さく、オオデマリはアジサイほどの大きさの花になります。(下はオオデマリ・花仲間ガーデン)

オオデマリ
コデマリ

コデマリ(スモークツリーガーデン)

バラ(5月上旬から)

5月上旬から、長い期間に渡って様々な品種を見ることができます。ローズガーデンを中心に、スモークツリーガーデンなどでも咲いています。

バラ
バラ

ローズガーデンガゼボに絡まって咲いています。

バラ
バラ

5月の陽光を賛美するかのように空に向かって咲く「アンジェラ」。

アリウム・ギガンチウム(5月上旬から中旬にかけて)

思わず触れてみたくなるかわいいまん丸さん。よく見ると、何かに似ていませんか? そう、ねぎ坊主! これはアリウム・ギガンチウムといい、ねぎの仲間です。(ねぎも含めて「アリウム」という品種だとか)深谷市がねぎの特産地であることにちなんで、花仲間ガーデンやウエルカムガーデンに多数植えられています。

アリウム・ギガンチウム

マロニエ(5月上旬から)

ふかや緑の王国が、埼玉県の農林総合研究センター園芸研究所であったころ、今の「王国通り」は街路樹として使われる樹木を植え、研究素材として使用していました。そのことから、今もモクレンやツツジ、ケヤキといった、街の樹木としてなじみ深い木々が見られます。その中でも、ちょっと異国情緒あふれるのが、この「マロニエ」。パリの並木道を彩ることで有名ですが、あまり見たことがない人も多いのでは?とんがり帽子のような花の形がユニークです。

マロニエ
マロニエ

シラン(5月中旬)

シラン(紫蘭)は観賞用として庭によく植えられる花で、栽培しやすい種類です。高さは30~70センチになります。緑の王国では薬草園に植えられており、球茎の一部が肥大化して地上に出る「偽球茎」の部分が薬用になります。この部分は粘りがあるため、七宝焼きの接着剤としても使われるそうです。紫蘭の名のごとく紫の花がほとんどですが、白花もあります。

紫蘭
紫蘭

ノハナショウブ・アヤメ・カキツバタ(5月中旬)

どれがどれか区別がつかなくなりがちな草花としてよく知られる組み合わせです。 まず水辺に咲くか陸地に咲くかで分けます。最初に「ノハナショウブ」。ゆったりとした大きな花弁をつけ、色は下の写真のように白、紫、ピンク、黄色など様々です。 「カキツバタ」も水辺の湿地を好む花ですが、こちらはふつう紫一色(園芸品種には白もある)で、花弁に白い筋が入ることが特徴的です。 対する「アヤメ」は乾いた陸地に生えます。もともとアヤメは模様の「文目」を表す命名であり、よく見ると花弁に網目模様が入っている点で区別します。 いずれも咲く時期がほとんど同じなので、咲いている場所や細かい模様や色の種類の違いで判断します。

ノハナショウブ
カキツバタ

カキツバタ(花仲間ガーデンの池周辺)

ノハナショウブ

ノハナショウブ

アヤメ

アヤメ(サステナブルガーデン) この一輪は比較的網目模様がはっきりとわかりますが、薄いものもあるので要注意です。

アサザ(5月中旬から)

花仲間ガーデンの池に咲く黄色い花。実は絶滅危惧種の「アサザ」です。北海道を除き、本州の池や沼に咲きます。よく見ると花の縁に細かい裂け目があります。緑の王国の花仲間ガーデンの池にあるものは、軽井沢のレイクガーデンからお輿入れしたものです。1日で終わってしまう花で、午前中を中心に見ることができます。

アサザ
あさざ

睡蓮(5月中旬から)

印象派の画家モネの作品でも名高い「睡蓮」。せせらぎ通りの池に咲きます。

睡蓮
睡蓮

スモークツリー(5月上旬から6月)

煙のようにほわほわした薄赤の「なにか」が面白いスモークツリー。実はこれ、花が咲いた後の「花がら」なのだそうで、花ではありません。花自体は小さく目立たないのですが、なぜか花がらの方が長く伸び、存在感を醸し出すという面白い木です。名前はもちろん、この光景が煙がたゆたっているように見えることからつけられました。「ケムリノキ」、「ハグマノキ」とも呼ばれます。 スモークツリーガーデンでは、中央に数本のスモークツリーが植えられ、5月から6月にかけて「スモーク」が風になびく様が楽しめます。

スモークツリー
スモークツリー
スモークツリー
スモークツリー

周囲の草木と比べると背が高いので、開花期にはよく目立ちます。

カルミア(5月下旬)

カルミアは北米大陸原産の3メートルほどに成長する低木です。5月の後半ごろに唐傘のような三角形のつぼみをつけだんだんと咲いていきます。先にハナミズキは尾崎行雄が東京市長だった時にアメリカに桜を送った答礼品として渡来したと書きましたが、カルミアもその時ハナミズキと一緒にもたらされたという説があるそうです。あまり日本的ではない毒々しささえ感じさせる模様を持ちます。花自体は小さいですがかたまって咲くため、近くで見ると妙な存在感のある花です。

カルミア
カルミア
カルミア

つぼみの段階から独特の存在感を放つ花です。

クレマチス(5月下旬)

クレマチスガーデンのクレマチスは5月下旬ごろからだんだんと咲き始めます。色も種類も様々で、比較的長い時間見ることができます。ほとんどのクレマチスはこの時期に咲きますが、アーマンディーという種類は早咲きで、3月下旬には既に咲いています。

クレマチス
クレマチス
クレマチス
クレマチス
クレマチス

アーマンディー クレマチスの中では早咲きで、3月下旬から見ることができます。

クレマチス
クレマチス

クレマチスの咲いた後はこのように金色の糸がうねるような形状になります。

キョウガノコ(5月下旬)

キョウガノコはバラ科の多年草で高さは1~2メートルになります。モミジのような手のひらを開いた形の葉をしており、6月ごろに小さな粒がはじけたような紅紫の花をたくさんつけます。この花の様子を「京染めの鹿の子紋」に見立ててキョウガノコと呼ばれています。花仲間ガーデンで見られます。

キョウガノコ
キョウガノコ

咲き始めのころ 粒のようなつぼみをたくさんつけているのがわかる。

ユリ(5月中旬から6月)

山野草ガーデン、サステナブルガーデンなど王国内のあちこちで見ることができます。たくさん品種があるので、一つ一つの違いや色を楽しめます。(下の写真は「タケシマユリ」)。

タケシマユリ
ユリ
ユリ
ユリ

シモツケ(6月上旬から)

シモツケ

シモツケは日本原産の植物です。下野国(現・栃木県)で初めて見つかったためそのまま「シモツケ」の名が付きました。寒暑に強く、2ヶ月から3か月ほど咲き続ける丈夫な花です。赤紫やピンクの花をつけます。ベンケイソウに似ていますが、シモツケは葉にギザギザ(鋸歯)があるのが特徴です。

アジサイ(6月上旬から)

アジサイ園、ハナミズキ通り池の対岸を中心に、梅雨の時期に咲きます。

アジサイ
アジサイ

王国ひろばの西側、水路に沿って咲くアジサイです。

アジサイ園

アジサイ園 アナベルという種類が並んで咲きます。

アジサイ園

ハタザオキキョウ(6月上旬)

ハタザオキキョウは、カンパニュラ・ラプンクロイデスの名前も持つキキョウ科の植物です。梅雨の時期に、一本の茎に沿って紫の小花をびっしりと旗竿のようにつけます。サワギキョウのような形をしていますが、こちらの花の方がメリハリのある造形をしています。

ハタザオキキョウ
ハタザオキキョウ
ハタザオキキョウ

ホタルブクロ(6月中旬)

ホタルブクロは梅雨時に各地でみられる植物です。昔の子供が、その中にホタルを入れたからホタルブクロの名前がついたと一般的には言われているようです。しかしこの花には「チョウチンバナ」という名前があり、提灯を「火垂る」と呼んだことからホタルブクロになったともされているようでもあります。花色は白や紅紫、濃い紫が見られます。

ホタルブクロ
ホタルブクロ

ムクゲ(6月下旬から7月下旬)

梅雨の終わりごろから、ふんわり柔らかな桃色の花を咲かせるムクゲ。メディカルガーデンの東端で静かに咲いています。個々の花は一日で終わってしまいますが、次々と咲くので長い期間楽しめます。

ムクゲ
ムクゲ

シダレカツラ(5月上旬から)

ヒーリングガーデンの入り口に、涼やかな木陰を作ってくれている枝垂れる木が「シダレカツラ」です。樹木全体が甘い芳香を放つので、傍を通った人は、何の匂いだろう?と思うかもしれません。この木がどっさりと垂れ下がり、匂いを感じ始めると、夏のきざしだな、と感じます。

シダレカツラ
シダレカツラ

逆光でわかりづらいですが、シダレカツラが目の前に垂れ下がっているのはこんな感じです。

ヤマボウシ(5月上旬)

花仲間ガーデンの入り口で5月に入るとじきに白い花を咲かせる「ヤマボウシ」。 中央の小さな花の固まりを僧兵の頭に、白い花弁を頭巾に見立ててこの名前で呼ばれています。秋には実がつきますが、これは甘くて食べられるとか。

ヤマボウシ

レンゲショウマ(8月中旬)

山野草ガーデンに咲く数々の山野草の中でも特に人気の高いのが、この「レンゲショウマ」。 蓮の花に似ており、葉が「サラシナショウマ」に似ていることからこの名前があります。

レンゲショウマ
レンゲショウマ

カラー(海芋)(7月上旬から)

カラー
カラー
カラー
カラー

ワイシャツの襟(カラー)に似ているのでこう呼ばれます。ただしこの部分は花ではなく、花をくるむ仏炎苞(ぶつえんほう)という部分です(これはサトイモ科に多く見られ、カラーもサトイモ科に属します)。南アフリカ原産で江戸時代にオランダから渡来しました。そのため「海の向こうからやって来たサトイモ」の意味で「海芋(かいう)」とも呼ばれます。色は白や黄色、ピンクなどとりどりに咲きます。

クガイソウ(7月上旬から)

クガイソウ
クガイソウ

紫花の咲き始め

茎につく葉が幾重にも層をなしてつくので、「九階草」、また「九蓋草」とも書きます。「蓋」とは笠の数を数える単位のことです。花も特徴的ですが、葉の形状による名づけのようです。クガイソウは夏場にトラノオに似たかぎ状の花をつけ、1.5メートル近い大きさに育ちます。白や淡い紫色の花で、涼やかな印象を与えます。根茎は日干しにして、薬草として使います。リューマチや神経痛に効用があるそうです。

ミソハギ(7月上旬)

ミソハギは初夏から秋ごろにかけてよく見ることができます。すっと伸びた茎に鮮やかな紅色の小花をたくさんつけます。お盆棚に供える供花であり、「みそぎ萩」が転じてミソハギとなったと言われています。

ミソハギ

キキョウ(7月上旬)

現在多く見ることのできるキキョウはほとんど栽培品種であり、野生のキキョウは大変珍しいと言います。栽培品種のキキョウは地面に近いくらいの背丈であっても開花し、地を這うようにして咲いているものさえあります。色や模様も豊富で、微妙な斑の違いがとても美しいです。

キキョウ
キキョウ

三重?咲きのキキョウ

キキョウ

キキョウのつぼみ

キキョウ

フロックス(7月中旬)

カタカナ名前のフロックスより「オイランソウ」の呼び名の方が知られているかもしれません。花魁の髪の形からこう呼ばれるようになったと言われていますが、確かに鮮やかな色で、人の頭部の形に見えなくもありません。非常に強い性質の植物であり、一度植えれば植え替える必要もなく毎年咲くそうです。

フロックス
フロックス

シュウカイドウ(8月中旬から9月)

漢字で書くと「秋海棠」。中国から伝わってきた花であり、「海棠」とは高貴な人・美人を意味する言葉です。同じ名前を持つ花に似ており、秋に近く花をつけることからこう呼ばれるようになったとか。山野草ガーデンで見られます。

シュウカイドウ

ラクウショウのつくる木陰(5月上旬から)

草花ではないですが、初夏から盛夏にかけては、このラクウショウやメタセコイアの作る木陰がとても快適です。秋には樹木全体が紅葉し、ずっと見上げていたくなります。「気根」と呼ばれる小人のような根が周囲から生えてくるのも特徴的です。

ラクウショウ

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