タラヨウの「ハガキ」は本当に配達されるのかやってみた
タラヨウとは?
タラヨウはモチノキ科の樹木です。園内の南門の近くに植えられています。花はあまり目立ちませんが、ツヤツヤしたきれいな葉をつけ、この葉の裏側に字を書けることで知られています。そしてクロガネモチなど他のモチノキ科の木と同じく冬には赤い実がなります。
どこか不思議な語感の名前ですが、かつてインドで葉に経文を書いたというバイタラヨウ(貝多羅葉)にちなんでタラヨウ(多羅葉)と名付けられたとのこと。日本では平安時代に、タラヨウの葉に字を書いてやりとりをしており、これが葉書の語源になったと言われています。
そういった経緯から「ハガキの木」、「郵便局の木」として知られており、東京中央郵便局内に植樹されているとのこと。さらに文献を探索してみると、葉っぱに宛名を書いて切手を貼れば、定形外の郵便物としてきちんと配達までしてもらえる(*)と書かれていました。なんとも興味深い事実。好奇心がびしびし刺激されます。そこで実際にやってみることにしました。
(*)『超絶能力で生きのびる!世にも驚異な植物たち』(河出書房新社、2017年)53ページ
シャープペンの先端で「字を書いて」みました。割と肉厚の葉なので破れることなくこのようにきれいに書けます。とはいっても、これは本来葉についた傷から菌が侵入しないように保護する「かさぶた」のような役割で、「字」として残った部分はポリフェノールが分泌されて変色するのだそうです。
葉っぱを採取!
タラヨウの木に向かうと、幸い木の根元に手ごろな大きさの葉が落ちていました。切手を貼るためにはある程度の大きさが必要です。
採取した葉はタテ6cm(一番幅の広いところ)、ヨコ15cm、厚さは1mm未満。切手を貼るには十分でしょう。
ちなみに定形外郵便(50g以内)のサイズ指定は最小でタテ9cm×ヨコ14cm、最大でタテ25cm×厚さ3cm×ヨコ34cm(2026年3月現在)なので、タテ(幅)のサイズがちょっと足らないのが気がかりですが、まあとりあえずやってみましょう。
宛先記入&切手貼付
定形外郵便の切手は140円(2026年3月現在)。ちなみに図案はヤマブキの花です。素材が素材なのでどうやってタラヨウに貼るか思案した結果、木工ボンドを使うことにしました。
シャープペンの先端でふかや緑の王国の住所を書いていきます。初めは紙に書くのとは違う引っかかりが気になりますが(例えば「の」を一筆書きするのは難しい)、慣れると案外スラスラ書けます。画数最多の「櫛」の字もクリア!字は書いてから1分程度で変色し、こすっても消えることはありません。
念のため切手の四隅に木工ボンドをつけました。
こういう郵便物が届くと郵便局内でちょっとした話題になったりするのでしょうか。知りたいところです。
投函!
葉っぱが縮んでこれ以上サイズが小さくならないうちにレッツ投函!ポストの中で分解しないか気がかりですが、さてさて、無事に手元に帰還するでしょうか・・・?
そして・・・
投函したのは土曜日でしたが、二日後の月曜日、ご覧の通り本当に到着しました。採取した時よりやや乾燥が進んで湾曲し始めていましたが、特に問題はなかったようです。
消印も切手を越えて葉っぱまでしっかり押されています。木工ボンドで貼った甲斐あって、やや片隅が浮いていましたが、切手もはがれていませんでした。
SNS全盛の時代ですが、文字通りの「葉書」を実践するのも、なかなか味のある試みでした。タラヨウではない葉でも、規格を満たしていればハガキとして送れるそうです。液晶画面の上だけで交わされることのない言葉のやりとりを、もう一度振り返るいい機会になるかもしれませんね!
更新日:2026年03月16日