シモバシラ(の氷)写真展
スッと立った茎に白い小花を列になってつけるこの花、山野草ガーデンに10月上旬頃に咲くシソ科のシモバシラです。これは垂直花序と呼ばれる咲き方で、写真のように下から上に向かって順に咲いていく構造になっています。シモバシラにやってきた虫は、下の花から順に蜜を摂取していき、一番上に達するとまた次の花に移動します。小さな花一つだけ吸うよりも、全体を万遍なく吸った方が、体につく花粉の量も増え、受粉がより確実になるという仕組みだと思われます。
ところでこのシモバシラですが、この垂直花序の花よりもいわゆる「氷の花」が有名です。名前もここから来ています。
シモバシラの「氷の花」とは??
いわゆる「氷の花」と呼ばれることが多いですが、もちろんこれはおしべめしべを持った花ではありません。あくまでもたとえです。
では、これは何かというと、「氷」になります。
たいていの植物は花が枯れると、根も花に水や養分を送るという機能を止めますが、シモバシラはなぜかそれを止めません。シモバシラの根は越冬して2年以上生きると言われており、地上の花がなくなっても、地下の根は水を吸い続けて茎に送るのです。しかし地上の茎に届いてもその先に行き場がないので、水は凍結して茎からはみ出します。これが「氷の花」と言われる現象なのです。
この現象は毎年、12月中旬から翌年1月の初旬か中旬ごろまで見ることができます。一番よく見られる時間帯は早朝から午前9時ごろに限られ、気温が上がり始める午前10時ごろにはもう姿を消しています。触れる分にはしっかりとした硬さがあり、それほど繊細な氷というわけではありませんが、わずかな気温の変化にも敏感に反応するようです。その年の降雨量とも関係があるのか、見られる期間にも大分幅があり、例年は1月の第1週を過ぎるともう見られなくなってしまいますが、2024年は1月29日まで確認できました。ただ最もきれいな姿を見せるのは、12月の終盤で、よく注視すると氷とは思えない繊細で芸術的な「花」の様子を楽しむことができます。
ところで同じシソ科のアキチョウジという植物にも同様の「氷の花」がつきます。シソ科の植物はこのような構造を持つ特徴があるようです。
アキチョウジの花
アキチョウジのシモバシラ
アキチョウジのシモバシラ(接写)
このページでは、2020年以降撮りためたシモバシラの写真を一挙に公開します。写真を見て実物を自分の目で見なければ!!と思ったかたは、ぜひ早起きをして極寒の朝の緑の王国にいらしてください。なお、接写しているためどれも大きく見えますが、実物の大きさは平均してタテに5cm~10cm、大きくとも20cm未満です。
2020年12月
12月18日
12月21日
2021年12月
12月24日 小さな生物にとっては氷の壁
12月20日
12月20日
2022年12月~2023年1月
12月15日 始まりは控えめに
12月16日
12月16日
12月19日
12月19日 カイコが吐く糸のよう。これぞ自然の芸術。
12月20日
12月20日
12月20日
12月20日
12月21日
12月21日
12月21日
12月26日
12月28日
1月5日
1月6日
2023年12月~2024年1月
12月24日
12月24日
12月25日
12月26日
12月28日
1月6日
1月10日
1月14日
1月10日
1月29日 シーズンも終わりになると大きくならないまま消えてしまいます。
2024年12月~2025年1月
12月17日
12月18日
12月20日
12月23日
12月23日
12月24日
1月5日
1月9日
更新日:2025年07月24日