アネモネなんて花はない?!

更新日:2025年07月17日

さて問題です。この花の名前は何でしょうか?

アネモネ

 

アネモネ、と答えたかた。間違い、ではないですが、カンペキな正解でもありません。

実はアネモネというのは、固有の花の名前ではなく、属、すなわち同じような特徴を持つ花たちのグループの総称になります。

つまりアネモネ属の仲間の花たちは、みな正式にはアネモネ・○○○○という名前(学名)で呼ばれるのです。さしずめアネモネは姓で、下の名前が後につくわけです。

アネモネ属の花たちは、葉が細かく裂けて、多くの場合、中央に突起のある皿状の花がつくのが主な特色です。

キクザキイチゲ

例えばこの花。切れ目のある葉と菊のように細かく積み重なった花弁が印象的なキクザキイチゲ。緑の王国では春の初めに咲き始めますが、これは「アネモネ・プセウド-アルタイカ(Anemone pseudo-altaica)」が正式名です。

ニリンソウ

今度はこちら、春の花としておなじみのニリンソウ。イチリンソウにも見えますが、茎の付け根に次のつぼみが控えている点で区別します(ただイチリンソウでも二輪つくものもあるとか・・・)。これは「アネモネ・フラシダ(Anemone flaccida)」と言います。実はアネモネ属は、日本ではキンポウゲ科イチリンソウ属という分類をされるので、ニリンソウも含めイチリンソウの仲間はみんなアネモネです。ちなみにイチリンソウは、「アネモネ・ニコエンシス(Anemone nikoensis)」。

シュウメイギク

ではこの花はなんでしょう?ごぞんじ、秋によく見かけるシュウメイギクですが、こちらは「アネモネ・ヒュペヘンシス(Anemone hupehensis)」です。中国原産ですが、英語ではジャパニーズ・アネモネといいます。つまり英語圏の国では日本のアネモネといえばシュウメイギクを指しているわけです。ところ変われば品変わる、ですね。ここまで取り上げたのは園内で見られるものだけで、アネモネ属全体には、およそ120種が属しているそうです。

アネモネ

それでは最初の花に戻りましょう。こちらの花、正式には「アネモネ・コロナリア(Anemone coronaria)」と言います。

コロナ、という言葉を聞くと、未だに身構えてしまうところがありますが、これは元々「王冠」の意味です。例の新型コロナウイルスも、ウイルスの中に王冠に似た形があるのでこういう名前だそうですが、アネモネ・コロナリアにも花弁の内側に王冠のような円形の形状があり、これを副花冠(ふくかかん)と言います。この部分にちなんで名づけられています。

 

さて、日本ではアネモネと言えば大体コロナリアのことですが、これまで見てきたように、「アネモネ」だけでは特定の花を指していることにはなりません。花のツウを志している皆さんは、今この瞬間から「あら、あのアネモネ・コロナリア、見事な副花冠ね」と澄ました顔で言えるようになりましょう。

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