クリスマスローズはなぜクリスマスに咲かないのか?

更新日:2025年07月03日

寒い時期にうつむいて咲く姿が印象的なクリスマスローズ。でも実際に咲いている時期は、クリスマスどころか2月や3月がほとんどです。では、なぜ、「クリスマス」の名前がついているのでしょうか?

植物は○○科○○属という分類のしかたをされますが、クリスマスローズは「キンポウゲ科ヘレボルス属」となります。発音の関係で「ヘレボラス」と言うこともありますが同じことです。このヘレボルス属にはさらに細かく15種類があります。「日本国」の中に「埼玉県」があり、さらに「深谷市」や「熊谷市」などがあるのと同様に考えればいいでしょう。その15種類の中で一般的に見る機会が多いのが、「オリエンタリス」と「ナイガー(またはニガー)」の2種類です。

クリスマスローズ

ただ植物の学名はどれもそうであるように、この名前はどちらもラテン語であり、英語での言い方もあります。

英語では、「オリエンタリス」は「レンテンローズ」、「ナイガー」は「クリスマスローズ」と呼びます。ここで「クリスマスローズ」が出てきましたね。

 

この「クリスマスローズ」は、クリスマスにさきがけて、12月初めから咲き出します。ただし色は白しかありません。それがだんだんピンクに染まってくることもあるとか。

 

ここで「?」と思ったかたもいるでしょう。あれ、よく花壇で見るクリスマスローズは、紫とか緑とか黄色っぽいのが多かったような・・・

クリスマスローズ

星形や八重咲などさまざまな品種があります。(以下4枚、上の大きな写真も含めすべてレンテンローズ)

クリスマスローズ

実は、ふだん見る機会の多い紫や緑のクリスマスローズは、「レンテンローズ」(オリエンタリス)であって、「クリスマスローズ」(ナイガー)ではないのです。

 

では、「レンテン」とは何でしょうか?これは「lenten」という言葉で「四旬節の」という意味になります。

 

イエス・キリストは、十字架にかけられ処刑された後、3日後に「復活」します。この復活のお祝いのことを「イースター」と言います。

 

日本では馴染みのない光景ですが、キリスト教圏の国では、イースターに様々な絵や模様を描いた卵を家の中や庭に隠し、子供が探して食べる、という催しがあります。チャールズ・シュルツの『ピーナッツ』の愛読者の人であれば、仮装をしたスヌーピーが、籠に入れた卵を庭に播いているのをチャーリー・ブラウンたちが家の中から眺めている、というシーンを目にしたことがあるかもしれません。

 

ところで、イースターは、毎年3月21日以降のある一日が指定され、お祝いが行われるのですが、その40日前から、敬虔なクリスチャンのかたは、精進潔斎し、慎んだ生活を送るとされています(断食や沐浴など)。キリストが味わった苦難を追想する意味合いがあるそうです。

 

この40日間が、即ち「四旬節」ですね。

 

3月21日の40日前、というと、2月10日前後。まさにその時期から咲き始めるので、「レンテンローズ」となるわけです。なるほどそう思って注意していると、確かにレンテンローズの開花は2月中旬以降、一気に増えます。

クリスマスローズ
クリスマスローズ

レンテンローズは、クリスマスローズと違って、花色が豊富にあります。日本で流通しているのは大半がレンテンローズで、「本当の」クリスマスローズの方が実は少数派なのです。つまり、「レンテンローズ」として売り出せばよい話なのですが、世間のほとんどの人は、この花を「クリスマスローズ」として認識しており、いかんせんキリスト教の文化や伝統が一般的とはいえない日本では、「レンテン」の言葉が根付くことはこの先も難しいでしょう。

 

なので「ウチのクリスマスローズ、全然クリスマスの時期に咲かないんだけど、大丈夫なのかな?」と思ったとしても、心配は無用。それはそもそも「レンテンローズ」の可能性が高いので、2月中旬にはちゃんと、色とりどりの花を咲かせてくれるでしょう。

図解

クリスマスローズ

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