「連合埼玉」熊谷・深谷・寄居地域協議会からの要請書

更新日:2023年03月27日

「連合埼玉」熊谷・深谷・寄居地域協議会からの要請書
陳情者名 「連合埼玉」熊谷・深谷・寄居地域協議会
受付日 平成30年12月18日
陳情内容 要請書 深谷市民の生活安定・向上のために、日々市政の運営に全力で取り組まれている市長に心より敬意を表します。
また、私ども「連合埼玉」熊谷・深谷・寄居地域協議会の活動に対して、日頃より深いご理解とご協力を賜り厚く御礼を申し上げます。
さて、私たち「連合埼玉」熊谷・深谷・寄居地域協議会では、「安全・安心な地域社会」の実現を目指す取り組みとして、市政への政策制度改善要請項目を以下のようにまとめました。
本要請は、地域に働く労働者の生活の向上から、地域社会の活性化をはかり、住みよい「まちづくり」に繋げていく。そこからさらに安心安全な地域社会の確立に向けた政策制度事項であります。また、傘下組合の組合員の確認を得ながら、まとめたものであります。
つきましては、本要請を深谷市の行政に十分反映され、更に市政が発展、拡充されることを期待し要請を致します。
(要請項目 9分野 21項目)

1.総合経済・産業政策
(1)中小企業が生産性向上特別措置法による税制支援を活用するよう、中小企業への働きかけを促進すること。
<要請の根拠>
第196回通常国会において生産性向上特別措置法が成立し、中小企業の生産性革命を実現するため、償却資産に係る固定資産税の特例措置(取得後3年間ゼロ以上2分の1以下の範囲内において税軽減)が創設された。
中小企業の設備投資は足下では増加傾向にあるものの、リーマン・ショック前の水準には戻っていない。設備の老朽化も大企業より進んでおり、また、ソフトウェア投資も進んでいない。
今後は、中小企業経営者が自ら積極的に生産性向上を実現するために設備投資を促す取り組みが必要であることから、中小企業への働きかけを促進する必要がある。

【回答】
本市では、生産性向上特別措置法に基づく「導入促進基本計画」について、平成30年6月7日に国の同意を得ました。
また、平成30年6月27日付で深谷市税条例等の一部を改正する条例を公布し、要件を満たした中小企業者について、国の補助金の優先採択や当初3年間の固定資産税をゼロとする特例措置を受けられる制度を設けました。
この優位な制度をご利用いただくため、市内商工団体とも協力しながら、市ホームページや市広報等で周知し、積極的に取り組んでおります。

(2)様々な実施主体による公共サービスも含め、地方自治体の責任において、必要とする住民に過不足なく質の高い公共サービスが提供されるよう、公共サービス基本条例を制定し、公共サービスの基盤整備と質の向上をはかること。
<要請の根拠>
医療・介護、福祉、子育て、教育、地域交通などの公共サービスが劣化し、格差拡大や貧困などが深刻な社会問題となっている。その解決は、政府および各地方自治体の重要な課題であり、それに応えるため、2009年5月に公共サービス基本法が制定された。
公共サービスは、住民ニーズに応じたサービスの提供が必要であり、都市部に必要なサービス、農村部に必要なサービスなど、地域ごとに異なるニーズ、意識をどう合意形成していくかが大切である。今後、少子高齢社会・人口減少社会が進むにしたがって、公共サービスの重要性はさらに高まっていく。
公共サービスの基盤整備・質の向上をはかるためには、公共サービス基本法にもとづく公共サービス基本条例の制定が必要である。

【回答】
公共サービスは、市民生活の基盤となるものであり、公共サービスの提供を通じて市民が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるよう市政運営を行なっております。本市としては、公共サービス基本法に掲げられる考え方を実現するため、市長対話会を積極的に開催するとともに、行政評価制度を実施し、継続的な事務事業の見直しに努めております。これは、限られた経営資源の中で中長期的な観点も踏まえ、次世代への責任として市民ニーズを最大限に満たすための取組姿勢であり、こうした考え方は、公共サービス基本法を踏まえたものです。そのため、今後とも本市においては、この法律に定められた考え方に基づき公共サービスを提供してまいりたいと考えており、現時点においては、条例を定めることは考えておりません。

(3)公契約の下で働く者の適正な労働条件の確保および質の高い公共サービスの提供など、公契約の適正化をはかるため公契約条例を制定すること。
<要請の根拠>
民間事業者と契約を締結しておこなう公共工事や庁舎の維持管理業務においては、成果の適正な品質を確保するとともに、適正な契約価格により限られた財源を効率的に活用することが重要である。
また、契約締結の前提となる入札については、手続の透明性、競争性を確保するとともに、公契約の当事者として適切であるよう、落札業者において各種法令を遵守していることが必要であり、加えて、成果の品質の低下や下請業者などへのしわ寄せが生じるようなことはあってはならない。
しかし、公共工事設計労務単価が引き上げられているにもかかわらず、中小・小規模事業者や現場で働く建設職人の単価や賃金が上がっていない実態にある。

【回答】
公契約適正化に関しては、「技能労働者への適切な賃金水準の確保」が喫緊の課題とされており、国から建設業団体、民間発注者団体及び地方公共団体に対し、適切な価格での契約及び技能労働者への適切な水準の賃金の支払い等について要請があったところです。
この要請を受け、本市では、新労務単価の早期適用、ダンピング受注の排除、法定福利費の適切な支払いと社会保険等への加入徹底に関する指導などに努めているところです。また、関係法令の遵守についても「入札参加者の遵守事項」として指導に努めております。
公契約条例については、国においてILO第94号条約を批准しておりません。
また、現行の労働関係法令において、賃金その他の労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものとされております。このことから、現状においては、公契約条例の制定は考えておりませんが、国、近隣自治体及び先行自治体の動向の把握に努めてまいりたいと考えております。

2.雇用労働政策
(1)国、学校、特に労使団体等との連携を強化し、私学を含むすべての高校生・中学生が労働法等をつうじて、働く者の権利と義務、ワークルール、税や社会保険の仕組みに関する基本的な知識を学ぶ機会を拡充すること。
<要請の根拠>
若者の労働問題の発生や早期離職を食い止めるために、学生、若者が就職する前やアルバイトをする際に、働く者の権利と義務、ワークルール、社会保険の仕組み等に関する基礎的な知識を身につけておくことは極めて重要である。県内すべての高校生・中学生がそれぞれの段階に応じて、労働法等の学習をつうじて上記内容を学べるよう、十分な時間を確保し、学習内容を充実させる必要がある。

【回答】
本市では、国・県・関係機関等と連携し、広く一般に対する労働セミナーの開催や啓発活動などを通じて、若者に対してもそれらを学ぶ機会を提供できるよう努めております。
高校生に対する労働法や税に関する教育としては、国や学校において、労働法に関する教育プログラムや租税教育などが実施されております。
また、中学生に対する教育としては、中学校の社会科の授業等を通して、「勤労の権利と義務、労働組合の意義及び労働基準法の精神について」「租税の意義や役割について」「社会保障の仕組み」等、学習を通じて基礎的な知識が身につけられるよう努めております。

(2)働き方改革におけるパワーハラスメント防止対策強化の一環として、官民問わず問題となっている、顧客・取引先による暴力・暴言や一般常識を超えた不当な要求行為等といった悪質クレームの防止・撲滅にむけ関連部門の連携による啓発活動と市民教育を実施すること。
<要請の根拠>
顧客・取引先からの苦情については適切に対処される必要があるものの、人格を否定する暴言や同じ内容を何回も繰り返すクレーム、長時間拘束や土下座による謝罪の要求、威嚇・居座りなど、明らかに一般常識を超えた、いわゆる悪質クレーム(迷惑行為)が深刻な問題になっている。このような悪質なクレームは働くものに大きなストレスを与え、販売機会等のロスや、サービスの質の低下、その対応のためのコスト増により生産性の低下を招く。
こうした著しい迷惑行為については、事業主が労働者の安全に配慮するため何かしらの対応が必要であるが、事業主から顧客・取引先への直接的な措置を講じることは難しいため、その防止と撲滅のためには関連部門が連携した啓発活動や、倫理的な行動をもとめる市民教育の実施が必要である。

【回答】
本市では、市民の皆様が自主的に開く勉強会や研究会などの場に講師を派遣する「まごころ出張講座」や、生涯学習、ボランティア活動への理解を深めるための「ふかや市民大学」において消費生活講座などを実施しております。また、消費者教育の推進に関する法律に基づき、消費者の保護や自立の啓発を行うとともに、市広報、市ホームページ等においても周知・啓発活動を実施しております。
このような活動の中で、いわゆる悪質クレームの事例共有や啓発活動の推進に努めてまいりたいと考えております。
また、国・県・関係機関等と連携し、広く一般に対する労働セミナーの開催や啓発活動などを通じて、市民の皆様に学ぶ機会を提供できるよう努めてまいります。

(3)女性の活躍を推進するため、以下の施策を実施すること。
a.女性活躍推進施策を議論するための協議会を設置すること。
既に協議会を設置している場合には、労働者の代表を委員として加え、働くものの意見を施策に反映できるようにすること。
b.該当区域内の事業主の行動計画に関する情報を収集し、300人以下の事業主も含めた一般事業主行動計画の計画策定状況、とりわけ男女の賃金の差異の状況、非正規労働者に対する取り組みの情報などを把握、公表すること。
<要請の根拠>
a.女性活躍推進法では第23条に基づき、協議会を設置できるとしている。地域の各主体が連携をはかりながら推進施策を計画、実行していくこと、および、その中で職場の女性課題を解決するために働くものの意見を反映することは極めて重要である。
b.地域における女性活躍を進めるためには、地方自治体も事業主に対して積極的に働きかけていくことが有効である。特に、本文記載の重要項目については、計画策定が努力義務である300人以下の事業主に対しても把握、公表を求めていくことで地域全体の女性活躍推進が進展するものと考える。

【回答】
a.本市では昨年度、すでに設置済みの深谷市男女共同参画会議においてご意見をいただきながら、女性活躍推進法に基づく市町村推進計画の性格を併せ持つ「第3次深谷市男女共同参画プラン」を策定したところです。なお、参画会議の委員として、深谷商工会議所、深谷青年会議所、深谷工業連絡会などの団体からも参画いただき、働く方の意見の反映にも努めており、今後も深谷市男女共同参画会議から女性活躍推進施策に関するご意見をいただいてまいります。
b.一般事業主行動計画の策定については、国の機関が管轄しており、各情報の収集・把握は労働行政機関において行われております。また、男女の賃金の差異の状況や、非正規労働者に対する取組などの各事業所の情報の公表については、事業主が必要に応じて把握し、適切と認めるものを公表することとされており、市が独自に把握・公表することは難しいものと考えます。
本市においては、女性活躍の推進に向け、300人以下の事業所も含め、事業主へ女性活躍推進法の趣旨について啓発してまいります。

3.福祉・社会保障政策
(1)認知症の方を受け入れ、支える体制をつくるため、警察が中心となり、警察からの認知症の方の行方不明情報をもとに消防・学校・タクシー会社・コンビニや商店などが地域社会全体で情報伝達をおこない、認知症の方が行方不明になったときの連携ネットワークを構築すること。
<要請の根拠>
警察庁が発表した資料によると、2016年中に認知症が原因で行方不明になったとして家族から届け出があった人数は、15,432人にのぼる。警察が届け出を受理した行方不明者の数は、ここ数年は8万人台で推移しているが、認知症による行方不明者数は2013年以降1万人を超え、全体の2割近くが認知症患者で占めていることになる。
認知症の方を介護する家族の負担は大きく、到底、24時間見守ることなど難しいものの、裁判では徘徊による道路や線路内での事故の責任を介護する家族が問われるケースも出ているため、福岡県大牟田市のように地域で見守り、支える制度が構築されるよう県や警察が市町村と連携を進めていく必要がある。

【回答】
現在、市では、認知症のかたやご家族を支援する目的として、「徘徊者探索システム」の運用、「おでかけ見守りシール」の交付、「認知症サポーター」の養成などの取り組みを実施しております。
また、県、市町村、県警等による「埼玉県徘徊高齢者等SOSネットワーク」により、認知症等の行方不明者の情報を自治体間で共有し、迅速且つ広域的に捜索できる体制を構築しており、認知症による行方不明者の早期発見・事故防止につなげております。
その他、民生委員による高齢者の安否確認、災害時等要援護者名簿を活用した見守り活動、老人クラブ等による見守り活動など、地域におけるさまざまな方々のご協力により、認知症の早期発見などにつながる活動が行われております。
今後も、他地域の取組に目を向けつつ、福祉行政のさらなる充実を目指し、研究してまいります。

(2)介護保険施設などでの身体拘束や虐待を根絶するため、身体拘束廃止委員会ならびに虐待防止委員会の各施設における設置を指定要件に加えること。また、介護保険適用外の施設における身体拘束・虐待に対する行政指導を厳格化すること。
<要請の根拠>
介護保険制度では、介護保険施設などのサービス提供にあたりベッドや車椅子にしばりつけるなどの身体の自由を奪う「身体拘束」が「緊急やむを得ない場合」を除き禁止されている。しかし民間団体の調査によると、介護相談員が虐待や身体拘束と判断できる不適切なケア(グレーゾーン)を目撃したことがあるとの回答が33.1%にのぼったとの報告がある。身体拘束は適切であったとしても、体の自由を奪うことから人権侵害になりかねない。また高齢者は体を動かせなくなるため、身体機能が下がってしまい、寝たきりにつながってしまう可能性もある。
身体拘束を事故防止対策として安易に正当化することなく、高齢者の立場になり、その人権を保障しつつケアを行うという基本姿勢の下で、介護を必要とする高齢者の自立の支援に向けたサービス提供を行うため、身体拘束廃止に向けた取組を積極的におこなっていく委員会を設置することが必要である。

【回答】
介護保険施設のうち、地域密着型サービスの事業指定については、介護保険者である大里広域市町村圏組合(深谷市・熊谷市・寄居町で組織)において実施しております。
大里広域市町村圏組合においては、厚生労働省令に基づき、指定地域密着型サービスの事業の運営に関する基準を定めています。その中で「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果について、介護従業者その他の従業者に周知徹底を図ること。」を明記し、指定要件に加えております。現在、虐待防止委員会については、厚生労働省令に記載がないため、指定要件に加えておりませんが、高齢者虐待が認められた場合には、虐待防止委員会の設置を求める等、適切な対応について研究してまいります。
また、「介護保険適用外の施設における身体拘束・虐待」に対する行政指導については、身体拘束を事故防止対策として安易に正当化することにならないよう、指導方法等を含めて研究してまいります。

4.消費者政策
(1)高齢者の消費者被害を防止するために、「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)」を設置すること。
<要請の根拠>
消費者安全法の改正により、人口5万人以上の全市町村での「消費者安全確保地域協議会」の設置が政策目標に定められたが、埼玉県においては平成30年4月現在、11市町での設置に留まっている。高齢者の消費者被害を未然に防止するためには、高齢者と日々接する機会の多い方々が高齢者等の消費生活上の安全に常に気を配り、異変を察知したときは消費生活センター等の関係機関に適切につなぐなど地域での見守る体制の構築が必要である。また、埼玉県は全国一のスピードで高齢化が進むと見込まれていることからも、早期に全市町村に「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)」の設置が必要である。
<現在設置の11市町>
行田市、日高市、吉川市、志木市、上尾市、白岡市、加須市、桶川市、鴻巣市、ふじみ野市、小鹿野町

【回答】
本市においても、消費生活センターを設置しており、市民からの消費生活トラブル全般に関する相談に対し、専門の消費生活相談員が対応しております。
日々の相談は、高齢者からも数多く寄せられており、高齢者の消費者被害を未然に防止することの重要性を認識しております。
高齢者の見守りについて、市では引き続き、振り込め詐欺などの消費者被害を防止するための周知・啓発を行うとともに、消費生活センターとの連携に努めてまいります。
また、関係機関および団体と行政が連携した既設の見守りネットワークや警察署・社会福祉協議会の見守りネットワーク、地域包括支援センター等と連携を図り対応してまいりたいと考えております。

5.防災・減災政策
(1)学校および通学路におけるブロック塀倒壊等に対する安全対策を早急におこなうこと、また、対策が必要なブロック塀の撤去・改修のための助成制度を創設すること。
<要請の根拠>
大阪府北部を震源とする地震により、小学校にあった建築基準法違反のブロック塀が倒壊し、児童がその下敷きになり亡くなる痛ましい事故が発生した。学校ならびに通学路における安全対策を早急におこなう必要がある。埼玉県では県立学校および市町村立小中学校におけるブロック塀等について目視などによる緊急の簡易調査をおこなっているが、より詳細な確認をおこない、早急に対策を進める必要がある。
また、埼玉県では安全性の確保、緑化の推進を目的に、ブロック塀から生垣への転換に関しては20の市町で助成制度があり、その内ブロック塀の撤去も助成対象としているのは12市町となっている。
しかしながら、危険なブロック塀の撤去・改修を目的とした助成制度を創設しているのは、志木市、戸田市の2市のみであり、安全対策を早急に進めるためにも、県内全市町村で利用可能な助成制度の創設が必要である。

【回答】
学校施設のブロック塀に関しては、当該地震の発生直後、市内全ての幼稚園、小・中学校に対して、校地にあるブロック塀の点検を指示するとともに、登下校時に地震が発生した際の対処について、指導の徹底を依頼しました。学校敷地周りのブロック塀は、すでに撤去・改修が完了していますが、プールシャワー部分のブロック塀の撤去が数校残っており、引き続き対応してまいります。
通学路におけるブロック塀に関しては、臨時校長会を開催し、児童・生徒、保護者、地域住民からの情報をもとに危険箇所の点検を行うよう指示し、報告を受けた危険箇所については、関係課に情報提供しました。
また、市では、平成30年10月1日に「深谷市ブロック塀撤去等補助制度」を創設いたしました。深谷市内の道路に面している高さ1.2mを超えるコンクリートブロック塀等で地震により倒壊する恐れのあるものに対し、撤去または撤去し再築造する場合に補助制度を適用できます。

(2)自然災害時の被害軽減や、普段からの備えのため、特に被災想定区域においては、全ての住人にハザードマップについて周知徹底をおこなうこと。
<要請の根拠>
「平成30年7月豪雨」では、西日本を中心に甚大な被害をもたらしたように、近年では「50年に一度」といった大雨が増え、災害が激甚化している。西日本の豪雨では、被災地域が洪水ハザードマップの「洪水浸水想定区域」とほぼ一致したことから、あらためてこのハザードマップに注目が集まり、早期避難や普段からの備えに役立てようとの動きがある。
西日本豪雨においてはハザードマップに記載された内容の周知が徹底されていなかったという報告もあるが、ハザードマップの活用のためには住民がその内容を把握していることが重要であり、特にハザードマップでの被災想定区域においては全ての住民が把握している必要がある。
埼玉県におけるハザードマップの配布については、インターネットでの閲覧や、市役所等の指定場所での配布のみとなっている市町村もあるが、その内容の周知徹底のためには、全戸配布をおこなうことや、被災想定区域における避難訓練時の全住民への声掛けなどが必要である。

【回答】
市民へのハザードマップの周知については、現在使用しているハザードマップを作成した平成26年3月に全戸配布を実施するとともに、新たに市内へ転入してきた方に対しても配布を実施しております。
また、防災訓練や防災講座を通してハザードマップを含めた防災啓発に努めております。

6.環境・エネルギー政策
(1)温室効果ガス排出削減に向けた市民の環境意識を向上させるため、市民に十分な広報・啓発を県と市町村とで連携して行うとともに、オフィスや生活における節電・省エネの推進や技術の導入を支援し、家庭・地域・職域での環境問題への取り組みを強化すること。
<要請の根拠>
埼玉県では、地球温暖化対策推進として、「ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050」を定め、2020年に温室効果ガス排出量の削減目標として2005年度比で需要側の21%削減を目標としている。実行計画に基づき、エコライフ推進、エコタウンプロジェクトなど全国でも先進的な取り組みを進めており、2015年度の温室効果ガス排出量は13%削減となっている。
しかし、部門別にみると、家庭部門での削減は進捗が鈍く、これまで以上に取り組みを強化する必要がある。家庭部門での取り組みの強化にあたっては県民の環境意識の向上が必須であり、そのためには、県と市町村が連携した広報・啓発活動が必要である。また、さらなる温室効果ガス削減のためには節電・省エネ推進や技術の導入が必要であり、オフィスや家庭でのLED買い換えのための補助金など、具体的な支援について取り組む必要がある。

【回答】
広報・啓発については、市ホームページ等においてエコライフの推進など、県と連携し環境意識の向上に努めております。
また、環境問題への取り組みについては、講習会や節電ポスターの掲示など節電・省エネを推進し、太陽光発電システムや定置型リチウムイオン蓄電池など住宅用省エネ設備の導入支援として補助金の交付を行っております。
今後も、県と連携を行い広報・啓発に努めるとともに、省エネ設備の導入支援を行ってまいります。

7.交通政策
(1)運転免許証自主返納等により、移動手段を持たない高齢者が増加してきていることを踏まえ、以下の施策を講ずること。
a.高齢者の身体的負担、経済的負担に配慮した移動手段の確保・充実をはかること。
b.コミュニティバス路線の整備にあたっては、高齢者が利用する病院や商業施設等の生活圏に配慮し、隣接する行政区との連携も推進すること。
<要請の根拠>
近年高齢者の免許証自主返納が推進されており、高齢者にとって安全で利用しやすい地域の生活の足の確保は必須となっている。買い物、地域コミュニティでの活動、通院等に関係する生活圏をつなぐコミュニティバス、タクシー、オンデマンド交通システムなどを充実していく必要がある。
また、コミュニティバス路線などは市町村ごとに整備される場合が多いが、隣接する複数の市町村の住民が利用する施設がある場合には、その点を考慮し、市町村をまたいだ路線を設定することで、乗り換え回数を減らすといった利用者の負担の軽減につながるよう、隣接行政区の連携を推進していく必要がある。

【回答】
a.深谷市は公共交通の一環として、コミュニティバス「くるリン」を運行しています。
定時定路線バスに加え、高齢者や免許を持たない一人暮らしの方等、交通弱者の普段使いの足として広く活用いただくため、自治会毎に数か所のバス乗降場を設け、利用者が目的地を自由に設定できるデマンドバス(予約型バス)を市内全域で運行しております。運転免許返納者へは、平成28年4月から運賃を5割引するサービスも導入しております。
また、市の高齢者福祉サービスにおいては、介護認定(要支援・要介護1~3)を受けている低所得のかたを対象に「福祉タクシー利用料金の助成」を、介護認定(要介護4・5)を受けているかたを対象に、福祉車両による「ねたきり高齢者等移動支援」を行っております。
今後、高齢者による免許証自主返納の状況等社会情勢に注視し、行政と地域による包括的な福祉サービスが展開できるよう研究してまいります。
b.深谷市コミュニティバスは、高齢者や免許を持たない一人暮らしの方等、交通弱者の普段使いの足として広く活用いただくため運行しておりますが、これらの方に限定した乗り物ではなく、広く一般利用もできる公共交通です。このため、変化する土地利用に合わせた運行を行うため、毎年アンケート調査等を実施し、利用者ニーズを確認しております。利用者皆様の移動ニーズが変われば運行自体を変更することも考えております。
また、深谷市コミュニティバスは、隣接自治体が運行するコミュニティバスや民間路線バスと主要バス停において接続していますので、乗り継ぐことによって広域移動も可能です。今後、広域移動のニーズが高まれば広域交通も検討してまいりたいと考えます。

8.教育・子育て政策
(1)3年連続(2015~2017年)埼玉県人事委員会による「人事管理に関する報告」で言及された、教職員の勤務時間の把握、負担軽減に向けた対策、全ての学校で対策を進め、教職員がワークライフバランスのとれた働き方ができ、それぞれが持っている能力を発揮し、いきいきと児童・生徒と触れ合うことのできる労働環境を作ること。
<要請の根拠>
埼玉県人事委員会による「人事管理に関する報告」によると2015年には「教育職員の勤務状況の把握」、2016年には「教職員の勤務の負担軽減に向けた対策」、2017年度には「負担軽減に向けた取り組みがすべての学校現場で行き渡り、定着するよう徹底」するように記載がある。また、2017年4月に文部科学省が発表した「教員勤務実態調査」でも中学教諭の約6割が、厚生労働省の「過労死ライン」(残業が月80時間超)に該当する長時間労働であることから、教職員の負担軽減対策を進め、児童・生徒と触れ合うことのできる労働環境を作ることは喫緊の課題である。

【回答】
市教育委員会は、これまでも、総合的校務支援システムの構築やICT機器の整備等による物的支援、学校総合支援員や教科支援エキスパート等の配置による人的支援などにより、教職員が子どもと向き合う時間の確保と、教職員自身の負担軽減に取り組んでまいりました。また、各学校におけるノー残業デーの設定や県が提唱する「ふれあいデー」の実施を推進しております。
さらに、今年度より、出退勤管理システムを導入し、教職員一人一人の勤務実態把握に努めるとともに、夏季休業中や県民の日における「日直を置かない日」を設定するなどして、教職員のワークライフバランスのとれた働き方ができるよう取り組んでおります。

(2)児童虐待防止対策として、児童虐待に関する相談・通告の窓口を明確にし、児童相談所との連携体制を構築すること。
<要請の根拠>
平成29年度における埼玉県内児童相談所の児童虐待通告受付件数は1.3万件を超え、前年度に比べ約1,750件増加、この5年間で約2.8倍となるとともに、相談内容が複雑・困難化しており、初期の段階から適切に対応していくには、児童相談所の体制強化等が急務となっている。
こうした中、国においては、「児童相談所強化プラン」を策定するとともに、児童福祉法等の一部改正を行い、児童相談所の体制や専門性の強化など児童虐待に関する対策の強化に向けた施策を講じてきた。しかしながら、東京都目黒区において、5歳(当時)の女児が保護者からの虐待により亡くなるという大変痛ましい事件が発生、政府は7月に関係閣僚会議で、児童福祉司を2022年度までに約2,000人増員することを柱とした緊急総合対策を決定した。
今後、二度と子どもの命が失われる痛ましい事件が繰り返されることがないよう、児童虐待防止対策のさらなる強化をはかる必要がある。

【回答】
本市では、こども青少年課児童相談係において、支援が必要な児童及び家庭の情報を把握し、必要に応じ、庁内関係課及び児童相談所等と連携を取りながら、身近な場所における支援業務として相談の対応や訪問等を行っております。また、虐待通報の専用電話「虐待ホットライン」を設置し、通報の対応をおこなっております。
なお、本市では、平成16年の児童福祉法一部改正に伴い、要保護児童対策地域協議会の事務局を児童相談係に置き、継続的に専門職を配置しており、現在も保健師1名、看護師2名、保育士資格を有する家庭児童相談員2名を配置しており、全員が児童福祉司任用資格を有し相談業務に対応しております。

(3)妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を提供する「子育て世代包括支援センター」を設置すること。
<要請の根拠>
核家族世帯の割合が高い埼玉県において、孤立化しやすい妊産婦への取り組みとして「妊婦健診受診啓発」「産後うつケア」や「産後検診」など、妊娠・出産・育児の様々な相談にワンストップで対応し、安心して産み育てる環境を整備する必要がある。

【回答】
本市では、安心して子どもを産み育てることを支援するため、すべての妊産婦等に保健師・助産師による切れ目のない支援を行う「子育て世代包括支援センター」として、平成29年7月に「母子健康包括支援センター」を開設いたしました。
母子健康手帳の交付時に妊婦健診を受けることの大切さを説明するとともに、支援プランの作成、妊娠8か月時の電話支援や妊産婦・新生児訪問等を原則同一の保健師・助産師が対応し、妊娠・出産・育児等の相談に継続して応じております。新生児訪問時には、産後うつの疑いを早期に発見するためのアンケートを実施し、状況に応じ医療機関への受診勧奨や継続した支援を実施しています。
また、「母子健康包括支援センター」の開設と同時に、産後の精神的、身体的負担の軽減を図るため、支援の必要なかたには、心身の休養の確保や育児手技等の指導を受けられる「産後ケア事業」を実施しています。
今後も、必要に応じて関係機関と連携を図り、継続的に妊娠・出産、育児の相談に応じることができるよう、相談支援体制を強化してまいりたいと考えております。

(4)待機児童解消に向け、引き続き県および市町村が連携し、より良い保育の質・環境を確保しつつ、保育所や認定こども園等の整備・拡充、企業内保育所の設置、幼稚園の延長保育などを進めること。
<要請の根拠>
2018年4月1日現在の県内の保育所等待機児童数は、対前年比294名増の1,552人。また、待機児童にカウントされていない、いわゆる「隠れ待機児童」は、待機児童の約3.7倍の5,785人いる、待機児童および隠れ待機児童の人数はまだまだ多いと言わざるをえない。そこで引き続き、利用者の多様化するニーズに対し多様な選択肢によりすべての子どもが希望する保育所や認定こども園に入所でき、よりよい保育環境を確保するための施策をおこなう必要がある。

【回答】
本市では、平成30年4月1日現在において42名の待機児童が発生したことを受け、本年度、緊急的に「待機児童解消施設整備費補助金」を創設し、既存施設の定員増に努めております。加えて、保育所1園、小規模保育室2園が新たに開設される予定です。これにより、平成31年度の4月入園では全体で217名の定員増を図り、待機児童解消を目指しているところです。
今後も利用者のニーズや動向を注視しながら、埼玉県及び市内社会福祉法人等と連携し、より良い保育環境の整備に努めてまいります。

9.人権・男女平等政策
(1)性的指向や性自認に関する差別を防止するため、以下の施策を講ずること。
a.同性パートナー等が、婚姻・事実婚パートナーと同等の権利を得られるよう、「パートナーシップ制度」等の導入をはかること。
b.性的指向や性自認(性同一性障害を含む)に関する正しい理解を進めるため、企業や一般向けの啓発活動を強化・推進すること。
<要請の根拠>
社会全体で、性的指向や性自認(性同一性障害含む)に関する深刻な実態への認識が深まり、差別の解消が大きな課題となっている。性的指向や性自認によって、“パートナーに対する医療行為に「同意」できない” “パートナーの介護のための介護休業を取得できない”などの差別的取り扱いを受けることがないよう、各自治体での制度導入を進めていく必要がある。
また、各種インフラや制度の整備を進めていく際に、各種制度が趣旨にそって正しく運用されるためには、県内全体の理解促進が非常に重要である。

【回答】
a.深谷市のまちづくりの指針として策定した「第2次深谷市総合計画」において、基本姿勢として「多様性を尊重する」ことを掲げており、「人権・個性が尊重される社会の実現」に向けて取り組んでおります。
深谷市においては、「誰でも住みやすい地域」を目指して、パートナー登録制度を含めた各種人権施策を研究してまいります。
b.人権教育専門員2名を配置し、講師として派遣するなど、市内保育園・幼稚園・小中学校、公民館等における研修会の開催を促進・支援するとともに、広報紙「すみよい深谷市をつくるために 忠恕」を毎年1回発行、市内毎戸配布しております。
また、啓発イベントとして、「ふかや・ふれあい人権セミナー」及び人権啓発標語・ポスター展を開催、併せて市内小中学校の児童生徒から、人権に関する作文、標語及びポスターを募集しています。
いずれも、性的指向や性自認に関する課題なども含め、さまざまな人権課題について考える機会を、子どもから大人に至るまでの市民に提供していくことで、人権尊重の考えが地域社会において醸成されていくことを目指しております。
今後とも、世論の動向や社会的な要請、市民の関心の度合いや認知度の状況を踏まえ、効果的な啓発活動が行われるよう、内容や方法等を工夫しながら取り組んでまいります。

(表記を一部変更して掲載しております)
(平成31年2月13日)
担当課 企画課・総務防災課・契約検査課・自治振興課・人権政策課・福祉政策課・長寿福祉課・保健センター・こども青少年課・保育課・商工振興課・環境課・建築住宅課・教育総務課・学校教育課・教育施設課

 

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