埼玉県労働組合連合会からの要請

更新日:2023年03月27日

埼玉県労働組合連合会からの要請
陳情者名 埼玉県労働組合連合会
受付日 平成30年7月23日
陳情内容 1.公務職場が市民の多数である労働者の福祉向上の役割を果たすために
(1)自治体は、雇用・労働条件等の関係諸法令遵守の模範となってください。

【回答】
労働諸法令については、当然のことながら遵守しております。今後も引き続き労働諸法令を遵守し、率先して良好な労働環境の整備に努め、民間事業所の手本となるよう努めてまいります。

(2)非正規職員の増加と外部化をせず、恒常的職務については、正規職員を配置してください。

【回答】
自治体の財政状況は厳しく、深谷市においても単純に正規職員を増員することは難しい状況に置かれています。しかし一方で、社会情勢の変化や市民ニーズなどにより、教育や子育てなどの行政需要が高まっているのも事実です。これらの変化に柔軟に対応しつつ、将来を見据えた効率的な行政運営や組織規模の適正化を図るには、非正規職員の活用に頼らざるを得ない部分も生じてきています。
今後とも、個々の正規職員の能力向上を図るとともに、社会情勢に応じた弾力的な職員配置を行うなどして、住民サービスを低下させないよう、組織作りに努めてまいりたいと考えております。

(3)自治体職員の労働条件については労使交渉・合意を経ることを遵守し、労働組合(職員団体)の権利を不当に侵害しないようにしてください。

【回答】
深谷市としても、労使合意を目指して、団体交渉を行っております。職員の給料や労働条件は、社会一般の情勢にあった、住民から理解を得られることが必要と考えておりますので、結果として合意に至らない団体交渉について、ご理解をいただきたいと考えております。

2.自治体が地域の賃金・労働条件水準を引き上げる役割を果たすために
(1)改定された地方公務員法、地方自治法への対応準備中とは思いますが、施行前であっても非正規職員に次の改善をしてください。
ア)任用中断は廃止してください。
イ)処遇は、正規職員との「均等待遇」を原則にしてください。
ウ)基本賃金の最低保障額を月額23万円、日額10,400円、時給1,300円にしてください。
エ)基本賃金に経験年数を考慮した加算を実施してください。
オ)夏冬の一時金と退職金を支給してください。
カ)労基法上保障されなければならない休暇(年次有給休暇、産前産後休暇、育児時間、生理休暇、公民権行使、等)については有給で完全実施してください。
キ)年次有給休暇については、日数加算と繰越しを実施してください。
ク)社会保険・労働保険への加入、健康診断などを実施して、地域における雇用・労働環境向上のモデル的存在となるようにしてください。

【回答】
ア)深谷市の臨時職員の任用について、一定の任用年数に達した臨時職員は6ケ月の空白期間を置かないと次の任期に応募することができないという運用を行っておりましたが、平成30年度より運用の見直しを実施しております。
見直し内容につきましては、任用回数や年数が一定数に達していることのみを捉えて、次の任期に応募することを制限しないことと改めております。
しかしながら、同一の臨時職員を長期にわたって繰り返し任用することは、身分や処遇の固定化などの問題を生じさせるおそれがあることに留意が必要であると指摘されておりますので、今後も適正な任用に努めてまいります。
イ)正規職員、非正規職員の職務職責に応じた適切な処遇に努めてまいります。
ウ)臨時職員等の賃金水準については、随時見直しを行っております。
近年では、平成28年度において、一般事務、栄養士等の職種において20円から100円の引き上げを行いました。平成29年度においても、一般事務、保育士等の職種において30円から100円の引上げを行いました。今後についても、引き続き、埼玉県最低賃金、県内市町村の状況及び経済社会情勢等を踏まえ、賃金を含めた勤務条件の向上を検討していきます。
エ)経験年数に基づく加算(昇給)については、臨時職員は短期間の任用であることや非常勤職員の報酬が特定の知識、経験に基づき決定されていることを考慮しますと、昇給制度はなじまないものと考えております。
オ)一時金等については、労働条件等が多様であることから支給していませんが、導入団体を例として、調査研究していくとともに、国等の動向を注視してまいります。
カ)臨時職員の労基法上保障されなければならない休暇については、国の非常勤職員の休暇制度との均衡を図り、年次有給休暇を除く休暇は無給とする制度としております。
キ)年次有給休暇については、労働基準法の規定に基づく法定の日数を付与し、付与した年次有給休暇の全部又は一部を取得しなかった場合には、その残日数を繰り越しております。
ク)社会保険・労働保険の加入については、加入条件に該当する勤務形態の臨時職員は両保険に加入しております。また、健康診断については、パートタイム労働指針に基づき、6ケ月以上任用される(見込み含む)臨時職員のうち、週20時間以上勤務する方を対象に実施しております。今後も、労働・雇用の関係法令等を遵守してまいります。

(2)地方公務員法、地方自治法改定への対応にあたっては、国会審議経過、附帯決議の趣旨をいかし、非正規職員の雇用安定と労働条件向上に取り組んでください。
ア)自治体の業務は常勤の正規職員で担うことを基本に、財政面を優先した非正規化や外部化は行わないでください。
イ)会計年度任用職員制度を活用するにあたっては、勤務実態の見直し、職務の適正な評価にもとづいて、フルタイム職員化を推進してください。
ウ)労働契約法の趣旨を反映させた、有期雇用の安定化(17条2項・18条・19条)と不合理な労働条件の禁止(20条)にむけ、自治体独自に非正規職員の任用に関わる制度を整備してください。

【回答】
ア)1.の(2)でお答えしたとおり、自治体の財政状況は厳しく、深谷市においても単純に正規職員を増員することは難しい状況に置かれています。しかし一方で、社会情勢の変化や市民ニーズなどにより、教育や子育てなどの行政需要が高まっているのも事実です。これらの変化に柔軟に対応しつつ、将来を見据えた効率的な行政運営や組織規模の適正化を図るには、非正規職員の活用に頼らざるを得ない部分も生じてきています。
今後とも、個々の正規職員の能力向上を図るとともに、社会情勢に応じた弾力的な職員配置を行うなどして、住民サービスを低下させないよう、組織作りに努めてまいりたいと考えております。
イ)会計年度任用職員の導入にあたりましては、現在、臨時・非常勤職員の勤務実態等の調査を実施し、その調査を踏まえた課題の整理・把握を行っている段階です。今後、地方公務員法及び地方自治法の改正趣旨を踏まえ、勤務条件等の具体的な制度設計の検討を行ってまいります。
ウ)地方公共団体の常勤職員については、地方公務員法により「競争試験による採用」が原則とされており、厳格な成績主義が求められております。このため、非常勤職員を常勤職員として任用する場合には、競争試験などにより常勤職員としての能力実証を改めて行う必要がございます。
また、地方公務員については、労働契約法に規定する有期労働契約の無期転換ルールなどの適用が除外されております。
以上を踏まえ、自治体独自の制度を構築するのではなく、今後も現行の関係法令等に基づいた任用等を行ってまいります。

3.公契約制度の改善で労働者・住民の福祉を向上させ、事業者の経営安定と地域経済の活性化のために
(1)公契約の適正化、公契約条例制定に取り組んでください。
ア)公契約適正化によって次の総合的政策課題を推進してください。
○労働者の雇用、賃金、労働条件の適正化
○企業の経営の安定と技術力の向上・継承
○公共サービスの質の確保・向上
○地元事業者の活用機会の拡大、地域経済の活性化
イ)公契約条例制定にむけて次の取り組みに着手してください。
○公契約条例を制定もしくは制定を検討している自治体が増えています。それらの自治体の取り組みを研究してください。
○公契約条例を研究する組織を自治体内に設けてください。
○公契約条例制定をテーマに、地域団体と懇談する機会を設けてください。
ウ)公契約職場で労働諸法令が遵守されるようにしてください。
○労働諸法令遵守について点検できる仕組みを導入してください。
○労働諸法令の遵守を確認する現場調査を実施してください。

【回答】
公契約適正化に関しては、「技能労働者への適切な賃金水準の確保」が喫緊の課題とされており、国から建設業団体、民間発注者団体及び地方公共団体に対し、適切な価格での契約及び技能労働者への適切な水準の賃金の支払い等について要請があったところです。
この要請を受け、深谷市では、新労務単価の早期適用、ダンピング受注の排除、法定福利費の適切な支払いと社会保険等への加入徹底に関する指導などに努めています。また、関係法令の遵守についても「入札参加者の遵守事項」として指導に努めております。
なお、工事等の発注に関しては、本市経済の活性化及び市内業者の育成・振興を図る観点から、できる限り市内業者へ優先し発注する方針としております。
公契約条例制定に関しては、国は、ILO第94号条約を批准しておりません。また、現行の労働関係法令において、賃金その他の労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものとされております。
このことから、現状においては、公契約条例の制定は考えておりませんが、国及び近隣自治体、先行自治体の動向の把握に努めてまいりたいと考えております。

(2)公共工事に関わる入札・契約制度を改善してください。
ア)技能労働者への適切な賃金の支払、若年入職者の積極的な確保などを目的に設計労務単価が4年連続で引き上げられ、趣旨についても各自治体へ通知されています。
また、公共工事の品質確保の促進に関する法律、建設業法、そして公共工事入札契約適正化法の改正の趣旨に則って次の改善に取り組んでください。
○発注者の責任として、受注者に対して、適切な価格での下請契約の締結を指導してください。
○設計労務単価の上昇分が技能労働者の賃金に反映されているか調査し、改善履行を徹底してください。
○受注業者から、すべての下請企業との下請契約書の写しを提出してもらい、その中に賃金・法定福利費を明示させてください。
○公共工事入札契約適正化法改正により、ダンピング防止策、入札金額の内訳書提出、施工体制台帳も全ての下請についての提出などが求められることになりました。どのように実施される予定かお示しください。
○3法改正の趣旨を具体化する方策をお示しください。
イ)すべての対象労働者に建退共証紙を貼付するように徹底してください。

【回答】
深谷市の工事請負等の契約に関しては、労働者の賃金など全ての経費を含んだ総額で締結する総価契約としておりますが、いわゆるダンピング受注を排除するため、最低制限価格制度を導入しております。また、見積能力のないような不良・不適格業者の参入を排除し、併せて談合等の不正行為やダンピング受注の防止を図る観点から、入札に参加しようとする者に対して入札金額見積内訳書の提出を求めております。
下請契約に関しては、「入札参加者の遵守事項」として、建設業法の規定を遵守し適正に行うよう指導するとともに、技能労働者への適切な賃金水準の確保に関連し、「社会保険への加入及び法定福利費の支払いの徹底について」指導を行っているところです。また、法令及び契約約款に沿った範囲で、元請負人に対し施工体制台帳及び下請業者との契約書の写しの提出を求めております。
「建設業者の社会保険未加入業者対策」に関しては、発注者として、社会保険等に加入し、法定福利費を適切に負担する建設業者を確実に契約の相手方とすること等を通じて、公正で健全な競争環境を構築することを目的に、平成29年4月1日から、設計金額が130万円以上の競争入札で執行する建設工事を対象に、社会保険等へ加入していることを入札参加資格条件に追加いたしました。
なお、建設業退職金共済制度については、平成25年度から建退共証紙購入及び貼付状況の確認範囲を契約金額1,000万円以上から500万円以上に拡大しており、当該制度の積極的な活用を推進しております。

(3)業務委託、指定管理に関わる入札・契約制度を改善してください。
昨年、自治労連埼玉県本部が各自治体に送った「公契約の適正化に関する2つの提案」に示されている入札等に関する提案などをいかせば、公契約条例等を制定しなくても公契約の適正化は確保できると思います。公契約下で働く労働者の生活を保障する立場で入札・契約制度を見直してください。
ア)業務委託、指定管理についても、自治体としての予定価格の積算根拠を明確にして入札・契約を実施してください。
○その際に、労働者の雇用、賃金・労働条件の遵法はもちろんのこと、地方自治体の役割である社会的・文化的生活の質の確保が可能となる水準にしてください。
○入札にあたっては、参加事業者からも積算根拠を提出させてください。
○契約後には、自治体側の予定価格・積算根拠、受託業者の積算根拠を公開して、透明性の高い入札・契約制度にしてください。
イ)雇用の安定と、住民サービスの質を確保し、受託業者の経営の安定を図るため、長期継続契約にし、雇用期間は受託契約期間以上となる契約・仕様にしてください。
ウ)受託業者が変更になる場合でも、そこで働く労働者の雇用と既得労働条件が継続される契約書・仕様書にしてください。
エ)「労働省告示37号」に抵触する偽装請負・違法派遣をなくすための施策を実施してください。
○行政の質向上と業務委託・指定管理における法令遵守に矛盾がある場合は直営化してください。
オ)業務委託・指定管理では、背景使用者としての位置づけを認識した積極的な対応に心掛けてください。

【回答】
業務委託については、業務の履行に必要な期間を適切に設定し、業務内容に応じた業者選定及び積算基準等に基づいた予定価格の算出を適正に行っており、契約においては、当該委託に係る労働者の賃金も含めた契約金総額の支払いを約束する、いわゆる総価契約を行っております。
長期継続契約については、複数年の契約締結により、コスト縮減を図るとともに、より良質なサービスを享受することを目的として、長期継続契約を締結する場合の契約事務の取扱いに関し、必要な事項を定めております。
なお、業務の完了又は契約期間の完了をもって、当該契約に係る発注者としての責務はなくなるものであると理解しております。
委託契約については、業務内容に応じた契約約款に基づき、発注者は、監督員を定め書面をもって受注者に通知しております。また、受注者は、技術管理者又は現場責任者を定め書面をもって発注者に通知した後に、業務の管理及び統括又は業務の履行に関し指揮監督を行うこととなっておりますことから、受注者管理の下で業務が完了するよう、発注者として適切に監督してまいりたいと考えております。
指定管理者制度については、法人等からの業務内容に応じた管理業務に係る事業計画書の提出により、その内容を指定管理者選定委員会で審議し最も適当と認める法人等を候補者として選定しております。また、指定管理料の算定についても、各部署において根拠ある基準により適切な価格を算定し、設定しております。
協定書においては、当該施設管理運営に係る労働者の賃金も含めた指定管理料で協定を行っております。
指定期間については、指定管理者制度の目的を活かせるよう、競争性の確保、安定した施設管理運営などを考慮し、指定期間を原則5年としております。
指定管理者制度では、指定管理者から各種報告書の提出を義務付けております。各施設の所管課は、指定管理者制度による効果を検証するため、指定管理者に対して、各種報告書等を求め適切な指示等を行っております。
今後も管理業務基準書及び基本協定書に基づき、民間活力を取り入れた施設の運営が継続できるよう監督してまいりたいと考えております。

4.自治体業務に関わるシルバー人材センターの活用では、高年齢者雇用安定法を適正に運用してください。
(1)高年齢者の雇用開拓に自治体として取り組み、高年齢者に雇用の場を保障してください。

【回答】
市では、高年齢者の雇用のため、様々な業務を委託しています。
また、新規業務についても積極的に委託するようにしています。

(2)シルバー人材センターについては、高年齢者雇用安定法の趣旨にもとづいて、雇用労働者としてではない就業機会の確保を図ってください。
なお、法の趣旨に逸脱した活用がある場合は是正させてください。
○自治体の本来業務、恒常的業務については臨時・短期・軽易な業務とは言えず、労働法令が適用される雇用労働者によって業務を行うべきです。
「高年齢者の経験と能力の発揮と生きがい活動をサポート」を理由に、雇用労働が行われ、ましてや、最低賃金水準またはそれ以下の配分金(賃金)でシルバー人材センターを活用することは高年齢者の権利を侵害するものに他なりません。

【回答】
市の業務の中で、臨時・短期・軽易な業務の清掃業務や除草業務、施設の管理業務などは、シルバー人材センターを積極的に活用していただくよう、周知しております。

(平成30年8月31日)
担当課 公共施設改革推進室・契約検査課・人事課・商工振興課

 

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