深谷地域労働者福祉協議会からの要請書

更新日:2023年03月27日

深谷地域労働者福祉協議会からの要請書
陳情者名 深谷地域労働者福祉協議会
受付日 平成31年2月14日
陳情内容 2018年度「政策制度改善要請」
1.生活困難者対策、貧困対策
生活困窮者自立支援事業の実効性を高めるために、「学習(教育)支援」・「就労支援」に関する施策を充実させて下さい。
(1)「学習(教育)支援」・「就労支援」に係わる相談員については、教員資格やキャリアカウンセリング資格などの専門的知識を有する支援員を配置して下さい。
(2)生活困窮者や複合的な課題を抱えた人たちに対して、「社会とのつながりの再構築」や「包括的かつ個別的な支援」「早期からの継続的支援」を強化して下さい。
<要請の考え方(根拠)>
平成27年4月より、生活困窮者自立支援法の下に各自治体において生活自立に向けての相談・支援事業を実施しているが、生活基盤となる雇用につながる学習支援や就労支援は「任意事業」となっていることから、就労者数の増加が進んでいない状況となっている。就労支援を促進するため、支援員の確保や体制の強化を図るとともに、相談・就労支援に従事する支援員の人材育成や専門的スキルを持った方の配置が重要となってくる。

【回答】
(1)本市では教育委員会の事業として学習支援を実施していますが、教員免許を有する者を支援員として配置しております。就労支援については、相談支援を兼務しており、社会福祉士・精神保健福祉士等の資格を有し相談支援業務に1年以上従事している者又は相談支援業務に3年以上従事している者を配置要件としております。
(2)生活困窮者を早期発見するため、他部署や関係機関との情報共有を図り、情報提供に応じてアウトリーチ等により支援対象者へアプローチし、必要な支援を行うよう努めております。
今後も支援対象者の問題状況や要望に応じて、関係機関との連携、就労・ボランティア活動への参加などを促し、社会と関わる機会の提供等の支援を行ってまいります。

2.給付型奨学金制度の充実
(1)深谷市大学等入学資金融資制度・教育資金利子補給制度の制度強化と拡大をお願いします。
現状の利子一部補給を利子完全補給まで強化し、制度枠も拡大をお願いします。
(2)現在奨学金制度を利用しながら就学している方へも、深谷市の奨学制度を利用できるよう借り換えの相談・斡旋を行って頂きたい。
(3)家計や学生生活の負担を軽減するため義務教育課程での給食費、修学旅行などを無償化して頂きたい。
<要請の考え方(根拠)>
大学の学費の高騰と家計収入の減少により、今や大学生の2人に1人が、何らかの「奨学金」を利用しています。「奨学金」の多くは返済義務を伴うものであり、卒業しても返済に苦しみ「返したくても返せない」若者が増加しています。
国は、平成30年度からの給付型奨学金をスタートさせましたが、規模や金額が小さく「苦学生の学資や生活を支える」にはほど遠いものとなっています。
国の奨学金制度を補う観点から、自治体独自の給付型奨学金制度や無利子の奨学金の拡充、もしくは国の奨学金への利子補給等の制度創設・充実・改善が求められています。
また義務教育課程での給食費や修学旅行費については、未収金の子供に対するイジメの原因になったり差別の対象となり易く、無償化が必要と考えます。

【回答】
(1)本市では、現在独自で以下の制度を実施しております。
a.深谷市大学等入学資金融資制度
大学等へ入学する方の保護者に入学に必要な資金の融資あっせん(埼玉りそな銀行)を行い、融資を受けた場合、その利子の一部を市が負担します。
b.教育資金利子補給金制度
大学等へ入学するため日本政策金融公庫の教育資金一般貸付を受けた方に、その返済利子の一部を助成します。
どちらの制度も借入金利から2.0%分を利子補給する制度となっておりますが、近年では金融機関の金利が2.0%前後で推移しており、実質利子完全補給に近い制度設計となっております。
また、制度枠については申請が予算の上限額に達していないことから、現時点では満たされていると判断されます。
(2)代表的な奨学金の窓口である「日本学生支援機構」が実施している奨学金制度には、無利息であるものや在学期間中は利息が発生しないなど本市の制度にはないメリットもあります。このような制度は各家庭が事情に合わせ制度を選択・利用するものであることから、行政が斡旋をすることは難しいと考えます。
(3)修学旅行については、「学校行事等」に位置づけられる教育活動であり、学校内では得難い学習を行う機会であります。費用については、文部科学省で示されている義務教育公立学校における無償の範囲では、実費負担とされています。
しかし、できるだけ簡素で実質的な計画の下、なるべく低廉にすることとされ、保護者負担の軽減に努めております。また、経済的な援助が必要とされる家庭においては、就学援助制度を案内し、認定された方に対しては、市で修学旅行費の一部を負担しております。
学校給食に係る経費負担については、学校給食法において、学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費や人件費などは学校の設置者負担とし、その他の食材費は保護者の負担とすると規定されています。無償化を実施している自治体も一部ありますが、これを本市に置き換えると約6億円を市が負担することとなり、財源確保の面で難しいことから、食材費については、給食費として保護者の方にご負担いただきたいと考えております。
なお、経済的援助が必要な家庭に対しては、就学援助制度を案内し、認定された方に対しては市で給食費を負担しております。

3.子育て支援のための施策強化
(1)学童保育の受入れ体制を強化するとともに、指導員の増員、待遇改善を実施して下さい。
指導員の就業時間が短いのもありますが、収入額として少なく他の仕事を掛け持ちしている方も少なくありません。また3年半で辞めなくてはならない働き方だと安定しません。
(2)夜間保育可能な保育所を深谷市内に設置して下さい。
次期計画策定時に入れて下さい。今は女性も深夜勤務ができる時代になりましたが、シングルファーザー・マザーは子供を預けられず深夜勤務ができません。
(3)特別な教育的支援が必要な子たち(障害者)に対して、インクルーシブ教育が可能な小・中学校を選択できるようにして下さい。
<要請の考え方(根拠・継続)>
学童保育は慢性的な指導員不足の状態にあり、指導員や職員の待遇改善を積極的に行う必要があります。またインクルーシブ教育については望む親・望まない親がいると思いますが、支援学校も含めて選択肢があることが重要と考えます。今は様々な背景を持つ人たちが互いを理解し合いながら暮らす社会を目指す時代です。

【回答】
(1)学童保育の受入れ体制を強化するなど安定した運営を図るために、公立の支援員については、毎年賃金の改善を図っております。雇用期間についても、勤務状況を考慮したうえで、継続雇用も可能となるよう改善しております。
また、民間学童クラブについても、国の処遇改善の補助金の交付を行うなど、深谷市の学童保育の待遇改善を図るよう努めております。
(2)平成30年度、4月1日時点で深谷市では42名の待機児童が生じており、保育を必要とする保護者は増加している状況です。現在、「深谷市子ども・子育て支援事業計画」の次期計画策定に向け、子育て家庭を対象に調査を実施しております。この調査結果を踏まえて、保育の必要量や保護者の就労形態、保育形態のニーズ等に対するご意見を参考とさせていただきながら、夜間保育についても検討してまいります。
(3)インクルーシブ教育の考え方は、障害のある子供と障害のない子供が共に学ぶことを追求することであり、すべての子供が通常の学級で学ぶという意味ではないと考えます。発達障害を含め、障害のある子供の能力や可能性を最大限に発揮させるため、通常の学級や特別支援学級、通級による指導、特別支援学校といった多様な学びの場を効果的に活用し、交流学習や支援籍学習を行いながら、共に学ぶことを追求していくものと認識しております。
そのため、県は積極的に特別支援学級の設置を推進しており、平成31年度の深谷市の小中学校の特別支援学級の設置率は100%となる見込みです。
特別支援学級があるからこそ学校で安心して学べる子や自尊心が高まる子がいるなかで、多様な学びの場を選択できることが大切であると考えます。
今後も市では、すべての学校で、授業内容が分かり学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごすことができるよう、多様な学びの場と合理的配慮の提供に努めてまいります。

4.住民を「多重債務」から守る施策の強化
(1)カードローンの多重化による自己破産が増加していることから、相談窓口の設置で「生活福祉資金貸付制度」や「年金担保貸付制度」が利用できる仕組み作りを推進して下さい。
(2)「まごころ出張講座」や「ふかや市民大学」のような市が関与するセミナーにおいて、カードローンによる被害の多さや怖さをカリキュラムに取り入れて下さい。
<要請の考え方(根拠・継続)>
生活困窮者については色々な支援をして頂いておりますが、カードローンの多重化などは自覚が無く突然支払い不能に陥る方が多く、相談に訪れて間もなく破産する方もいます。
安易にカードローンや消費者金融に頼ってしまう怖さや、いつまでも今の収入が保証されない現実を広く知ってもらわないと、いつまでも根絶できない問題となっています。

【回答】
(1)本市では、消費生活センターを設置しており、市民の皆様の消費者トラブルについて、専門の相談員が相談に応じております。
また、生活困窮者自立支援制度による家計相談をNPO法人に委託し、そのノウハウを活用した支援を行っております。経済的な問題に係る相談の中で、貸付を受けたいという希望や貸付により生活を立て直すことが最善と考えられる場合など、生活福祉資金の貸付等をご案内しております。
(2)市民の皆様が自主的に開く勉強会や研究会などの場に講師を派遣する「まごころ出張講座」において「悪質商法等の消費生活講座」を実施し、周知・啓発に取り組んでおります。
また、「ふかや市民大学」は、全20回の講座で、郷土学、健康・医療、安心・安全、現代社会がテーマとなっておりますが、今年度、その講座の1つとして、消費者と事業者のトラブルを未然に防ぐための「消費生活講座」を実施いたしました。今後も同様の講座を実施する予定であり、消費者金融問題に関しても内容に盛り込んでいただくよう、講師と事前の調整を図ってまいりたいと考えております。
このほか、市広報や市ホームページ等においても周知・啓発活動を実施しており、こうした活動の中で、カードローンによる被害など、消費者金融問題に関しましても内容に盛り込み、啓発活動の推進に努めてまいりたいと考えております。

(平成31年3月25日)
担当課 自治振興課・生活福祉課・保育課・教育総務課・学校教育課・生涯学習スポーツ振興課

 

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