埼玉県地質調査業協会からの要望書

更新日:2023年03月27日

埼玉県地質調査業協会からの要望書
陳情者名 埼玉県地質調査業協会
受付日 平成30年5月24日
陳情内容 1.単独分離発注、登録業者への発注、協会会員の活用・受注機会の拡大、技術講習会・講演会の開催及び講師派遣等の有効活用のお願い
近い将来起こり得る可能性が高い“大地震災害”に備え、地域に根ざした地元企業主体と当協会員の活用をお願いします。
大規模災害発生時には、必ず地元企業が一丸となって埼玉県民のために貢献できると確信しています。

 

2.発注時期の平準化および適正な工期の確保
業務に応じた必要な工期の確保(早期発注、変更増に伴う設計変更等)と発注時期の平準化を年度当初から数値目標で取り組み、特に工期末が3月に集中しないように発注することを要望します。
この施策は、将来にわたって“魅力ある業界”とし“担い手確保”を実現するためには必須ですのでお願いします。

3.適切な最低制限価格の設定
最低制限価格の「設定なし」や、一部の市町村に採用されている「応札額の平均」による算出法により、ダンピング及び落札率の低下傾向が見受けられます。
低価格での受注は、“技術・品質向上に向けての健全な企業活動”に影響を及ぼしかねません。よって、国・県等で採用されている「費目別算出」による最低制限価格の設定をお願い致します。

4.乱れの少ない試料採取や原位置試験時の試験孔(別孔)の費用計上のお願い
高品質な地質調査を実施するには、まず本孔(調査孔)で“標準貫入試験(N値)”を実施し、事前に的確な土質判定を行う必要があります。この本孔で地盤構成やN値を把握したうえで、試験孔(別孔)の最適な実施深度を設定して、乱れの少ない試料採取や孔内水平載荷試験、現場透水試験などの原位置試験を実施するべきです。
本孔(調査孔)でサンプリングや原位置試験を行うと、N値の影響による乱れや未確認地層での原位置試験となるため、得られた試料やデーターも信頼性の乏しいものとなります。したがって、サンプリングや原位置試験を必要とする調査では、試験孔(別孔)が不可欠です。

5.地すべり調査・防災点検に地質調査業の力を活用
近年の大きな自然災害(斜面崩壊、土石流、地すべり、深層崩壊、地震、液状化など)は、どれを見ても地質に関連するものばかりです。
私ども地質調査業は、誰よりも多くの斜面・地盤を直視し内面に潜む危険因子を抽出し、地質リスクの観点から斜面危険度判定が出来る集団です。したがって、その調査・技術解析等においても十分な対応ができると考えますので、大手建設コンサルタント企業のみに発注するのではなく、JV方式(大企業と地元企業が共同受注)をご検討頂く事を要望します。
よって、災害時では身近な企業として、県民の皆様方の安全・安心な生活に最も貢献できる地元地質調査業者の参加を考慮した発注方式の採用をお願いします。

6.路面下空洞調査に地質調査業の力を活用
路面下空洞調査技術は「地中レーダ探査」であります。この地中レーダ探査技術は、非破壊調査として地下水面以浅の深度数m程度の浅層地盤を対象に、数10cm~数mの分解能で精密、かつ迅速に探査を行う手法であり、従来からハンディ型地中レーダ探査装置を用いた探査技術が広く適用されています。
路面下空洞探査車が求めた探査画像とハンディ型地中レーダ装置から求められる探査画像は、基本的に同じ地盤情報であり、探査画像から異常反射画像を抽出し、路面下の空洞等を評価、判定する画像の解析技術は共用できます。(二次調査で異常信号箇所周辺をハンディ型で測定する)
従って、路面下空洞探査車を保有しない企業であっても、リース等にて現地調査を実施し、探査画像が入手できれば、その企業が有する画像の解析/評価技術をもとに、所定の高品質を確保した路面下空洞調査を実施することが可能であるものと考えます。
以上より、災害時に身近な企業として、県民の皆様の安全・安心な生活に最も貢献できる埼地協の正会員の参加を考慮した発注方式(指名競争入札(一抜け方式))の採用をお願いします。

7.宅盤の地盤調査および液状化調査
現在実施されている宅盤調査は、スウェーデン式サウンディングが慣例的に実施されており、支持力等の検討・対策がされています。
一方、宅盤の液状化に関しては、平成25年4月1日付けで国土交通省都市局局長から都道府県知事等に対し、技術的助言として「宅地の液状化可能性判定に係る技術指針」が発表されました。
「この指針の取り扱いについては、宅地の液状化に関する調査や対策を義務づけるものではありませんが、少なくとも今後開発・造成される新たな宅地については、この基準を参考にして、より安全な宅地供給が行われることを期待する・・・」と記載されています。
「本指針の判定方法は、ボーリング調査結果に基づいて・・・」と記載されているように地盤調査は地表から20mを基本とし、調査資料はボーリング調査による地層構成、地下水位、標準貫入試験(N値)、室内土質試験による粒度特性(細粒分含有率、粘土分含有率、塑性指数)、土の単位体積重量を求めることになっています。
このように、ボーリング調査などの高精度な調査法が求められるようになり、宅盤の許可申請に関しては、“支持力はもとより液状化可能性判定を念頭に置いた地質調査”を行うよう許可機関に指導することを要望します。

8.液状化危険箇所の再確認と精度の向上
平成27年4月24日政府の地震調査委員会が、関東甲信越などM6.8以上の地震発生確率は30年以内に50~60%、活断層での発生確率が僅かでも関東全域のどこで発生してもおかしくない状況である旨、公表されました。
また、平成28年4月16日の熊本地震でも想定外の震度7が発生し大規模災害となりました。
このような状況の中、緊急輸送路及びアクセス道路、高度医療施設へのアクセス道路を含めた交通網の確保、該当路線の施設構造物の減災のため、新たな視点で液状化危険度の詳細検討業務を行うことを提案・要望します。

(要望書の受領のみ)
担当課 契約検査課

 

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